ネルトリンゲンの戦い (1634年)

ネルトリンゲンの戦い

ネルトリンゲンの戦い（Schlacht bei Nördlingen）は、1634年9月6日にドイツのネルトリンゲン郊外で勃発した、三十年戦争の中での重要な戦闘です。この戦闘では、スウェーデン軍とドイツのプロテスタント諸侯の連合であるハイルブロン同盟が、神聖ローマ皇帝軍およびスペイン軍に対峙しました。最終的には、皇帝軍が勝利を収め、戦局に大きな影響を与えました。

戦闘の背景

ネルトリンゲンの戦いが起きる背景には、カトリック側とプロテスタント側の複雑な動きがあります。まず、1634年2月にヴァレンシュタインが暗殺され、皇帝軍は総司令官を失いました。これを受けて、皇帝フェルディナント2世は自身の息子、ハンガリー王フェルディナントを新たな総司令官に任命します。この任命は、皇帝の権力を国内にアピールする意味合いもありましたが、当初は彼の地位は象徴的なものでした。しかし、ネルトリンゲンでの勝利により、彼の存在は一気に注目を集めることになります。

ファーストリーダーであったスウェーデン王グスタフ・アドルフの死後、プロテスタント側は士気が低下しました。この時、スウェーデンは宰相オクセンシェルナの指導の下でプロテスタント諸侯との連携を図りますが、同盟関係は必ずしも良好ではありませんでした。スウェーデン側の影響力を警戒したザクセン選帝侯やフランス王国の介入が同盟の結束を揺るがしました。このように、プロテスタント連合の内部には統一性が欠けており、これが後の戦闘における大きな弱点となりました。

開戦へ向けて

一方でカトリック軍は、戦局を有利にするために着実に南ドイツを掌握し、プロテスタントの重要な拠点であるネルトリンゲンを包囲しました。スペイン軍の援軍も9月2日に到着し、両軍の緊張が高まりました。9月6日、ついに両軍はネルトリンゲン郊外で衝突することになります。

戦闘の経過

戦闘が始まると、皇帝軍は33,000人、対するハイルブロン同盟軍は25,000人という構図で、初めはプロテスタント連合が優位に立ちました。しかし、統制が取れていなかったことが災いし、スウェーデン軍は皇帝軍に対して攻撃を続けようとしましたが、不運にも火薬処理のミスから士気が低下しました。この隙を突いて、皇帝軍が反撃を行い、再び丘を奪還します。

戦闘は激化し、終始皇帝軍の反撃が続く中、最終的にプロテスタント軍は敗北を喫しました。この戦いにおいて、スウェーデン軍は17,000人もの戦死者を出し、さらにホルン将軍を含む4,000人が捕虜となりました。

戦後の影響

この戦いの勝利を受けた皇帝フェルディナント2世は、感涙を流したとされています。ネルトリンゲンの敗北により、スウェーデンとハイルブロン同盟は疑心暗鬼に陥り、同盟関係が脆弱化しました。また、多くのドイツ南部の都市が皇帝軍の支配下に入り、ザクセン選帝侯は皇帝との単独講和を模索し始めました。

1635年、ザクセン選帝侯は皇帝と休戦協定を結び、同年5月30日には「プラハ条約」を締結しました。この結果、ハイルブロン同盟は事実上崩壊し、連合軍はフランスに支援を要請せざるを得なくなりました。こうして、フランスは新たに帝国に対する軍事介入の権限を得、さらなる戦争の激化へとつながっていきます。

このように、ネルトリンゲンの戦いは、三十年戦争の中での戦局を大きく変える転機となった歴史的な出来事なのです。

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