ネレイデ (潜水艦・初代)

ネレイデ (Nereide) - イタリア海軍潜水艦の悲劇

ネレイデは、イタリア海軍が第一次世界大戦中に運用したNautilus級潜水艦の一隻です。その艦歴は短く、悲劇的な結末を迎えましたが、当時の潜水艦戦の状況を物語る上で重要な存在です。

起工から就役まで

ネレイデは、1911年8月1日にヴェネツィア海軍工廠で起工されました。その後、1913年7月12日に進水し、同年12月20日に竣工しました。正確な就役日は不明ですが、第一次世界大戦が勃発する直前にイタリア海軍に加わったと考えられます。

第一次世界大戦への参戦と哨戒任務

イタリアは第一次世界大戦に参戦後、アドリア海での作戦活動を活発化させました。その中で、アドリア海中央部に位置するペラゴサ島を占領し、その周辺海域は重要な戦略拠点となりました。ネレイデもこの海域での哨戒任務に投入され、イタリアやフランスの潜水艦と共に警戒にあたっていました。

誤射事件と悲劇的な沈没

1915年7月24日、ネレイデはペラゴサ島周辺での哨戒中に、誤ってフランス駆逐艦「Magon」を雷撃してしまいます。しかし、幸いにも魚雷は外れ、事なきを得ました。この事件からもわかるように、当時の潜水艦戦は、敵味方の識別が難しい状況下で行われていました。

その後の8月4日、オーストリア＝ハンガリー帝国の潜水艦「U5」（艦長：ゲオルク・フォン・トラップ）は、リッサ島からペラゴサ島へ向かいました。翌日の8月5日、「U5」はペラゴサ島南に停泊していたネレイデを発見し、魚雷2本を発射しました。そのうち1本がネレイデに命中し、ネレイデは沈没しました。ネレイデも反撃を試み、魚雷1本を発射したとも言われていますが、引き上げられたネレイデには魚雷がすべて発射管内に残っていたことから、反撃はなかったと推測されています。

その後

ネレイデは後に引き上げられましたが、その短い艦歴と悲劇的な最期は、第一次世界大戦における潜水艦戦の厳しさを物語るものとして、歴史に刻まれています。

まとめ

ネレイデは、第一次世界大戦という激動の時代に、アドリア海で短いながらも重要な役割を果たした潜水艦でした。その艦歴は、潜水艦戦の黎明期における技術的な課題や、戦場の過酷さを如実に示しています。ネレイデの悲劇は、戦争の無情さを伝えるとともに、潜水艦戦の歴史において重要な教訓を与えてくれるでしょう。

参考文献

* Zvonimir Freivogel, The Great War in the Adriatic Sea 1914-1918, Despot Infinitus, 2019, ISBN 978-953-8218-40-8

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