ノイズフィルター

ノイズフィルターとは

ノイズフィルターとは、電気回路や電子回路、装置に混入する不要なノイズを取り除くための部品や装置の総称です。ノイズは、信号の品質を劣化させたり、機器の誤動作を引き起こしたりする原因となるため、ノイズフィルターは様々な電子機器において重要な役割を果たしています。

ノイズフィルターが使われる場面

ノイズフィルターは、その用途に応じて様々な場面で活用されています。

工場の自動制御機器: 工場などの自動制御機器では、電源ラインから侵入するノイズが原因で機器が誤動作する事故を防ぐために、ノイズフィルターが設置されます。また、機器内部で発生するノイズが外部に漏れて他の機器に悪影響を与えるのを防ぐ目的でも使用されます。
デジタル電圧計: 高感度、高精度なデジタル電圧計は、特に交流100Vの補助電源回路を使用するタイプでは、商用電源周波数やその高調波成分など、様々なノイズの影響を受けやすいため、ノイズフィルターが用いられます。結線の工夫やガード端子の使用と併せてノイズ対策が行われます。
音響機器: 家庭用電源から無線機やパルス信号などに由来するノイズが混入し、スピーカーから雑音が発生する場合にも、ノイズフィルターが用いられることがあります。

ノイズフィルターに使われるもの

ノイズフィルターには、主に以下の電子部品や材料が使用されます。

コイル: コイルは、インダクタンスを利用して高周波ノイズを抑制します。
コンデンサ: コンデンサは、キャパシタンスを利用してノイズをバイパスさせたり、電源の安定化を行ったりします。
フェライトコア: フェライトコアは、高周波ノイズを熱エネルギーに変換して除去する働きがあります。電源線や電話線に巻き付けて使用することが多く、特に高周波ノイズの除去に効果的です。フェライトコアの内径が大きい場合は、電話線を複数回巻きつけることで、より高い効果が得られます。

これらの部品は、それぞれの特性を活かして、目的に応じて組み合わせて使用されます。

ノイズフィルターの具体的な例

チョークコイル: 電源装置では、整流出力に含まれる交流成分を除去したり、商用電源に乗る雑音電圧を除去するために、チョークコイルが用いられます。チョークコイルは、周波数が高くなるほど抵抗が大きくなる性質を利用して、高周波ノイズを抑制します。
コンデンサ: ブラシモーターのような直流モーターでは、ブラシとコミュテーターの接触時に発生するスパークノイズが電波に干渉する場合があります。このようなノイズを除去するために、コンデンサがモーターの両極に取り付けられます。このコンデンサは、ノイズキラーとも呼ばれます。

ノイズフィルターに関する関連情報

ノイズフィルターの設計や測定に関する詳細な情報については、以下の文献が参考になります。

島山 鶴雄『ノイズ・フィルター―動作原理、正しい設計測定技術』無線技術普及会 ( ISBN 4795256071 )
木原邦夫「半導体検出器回路におけるノイズフィルター」2003年2月10日

関連用語

フィルター: 特定の周波数成分を通過させたり、遮断したりする回路や装置。
電波障害: 電波が受信を妨げられる現象。
ノイズキャンセラー: 能動的にノイズを打ち消す装置。

外部リンク

フェライトコアの功罪
本当は怖いフェライトコア
星和電機株式会社


ノイズフィルターは、電子機器の安定動作や性能向上に不可欠な要素です。用途に応じて適切なフィルターを選択し、効果的なノイズ対策を行うことが重要です。

もう一度検索