ノグチゲラ

ノグチゲラについて

ノグチゲラ（Dendrocopos noguchii）は、日本の沖縄にのみ生息する固有種で、かつては独自の属として考えられていましたが、現在はアカゲラ属に分類されています。特に名護市の山林で営巣が確認されていることから、沖縄島北部が主な生息地として知られています。

形態

ノグチゲラは、全長約31センチメートルで、翼長は15から17センチメートルです。体表の羽は暗赤色や濃赤褐色が多く、背中や腹部、尾羽基部の羽毛には赤みが見られます。顔や喉の羽は淡褐色で、暗褐色の翼には白い斑点が存在します。虹彩は褐色や赤褐色、嘴は淡黄または黄白色であり、基部は青灰色を帯びています。雌雄で羽の色に違いがあり、特にオスは頭頂が赤く、メスは黒褐色です。

生態

ノグチゲラは山地の照葉樹林に生息し、主にスダジイやタブノキからなる環境を好みます。食性は雑食で、昆虫やクモ、果実を私たちの観察では確認されています。特に夏から冬にかけて果実がメインとなり、地中にいる食物を掘り出す行動は主にオスが行います。雌は木の上にある実を捕食する傾向があります。

繁殖期には、ペアで約4から7ヘクタールの縄張りを形成し、巣穴は直径20センチメートル以上の枯れ木に作ります。繁殖は通常4月から5月に行われ、雌雄交代で抱卵を行い、約11日で孵化します。雛は育成期間中、両親によって育てられ、約27日後には巣立ちます。

人間との関係

ノグチゲラの英名「Pryer's」は、初めてこの種を記載したヘンリー・ジェームズ・ストヴィン・プライヤーに由来しています。また、種小名の「noguchii」は彼がこの鳥の記載を行うにあたり、ノグチという人物に敬意を表して名づけられました。

しかし、人口増加や開発活動により、その生息環境が脅かされ、数が減少しています。特に、人間による開発によって生息地が減ったり、人為的に持ち込まれた猫やフイリマングースによる捕食が懸念されています。さらにハシブトガラスが雛を捕食することで生息数への影響もあります。このため、ノグチゲラは1972年に国の天然記念物、1977年に特別天然記念物として保護されており、特に1993年の法律施行以降は国内希少野生動植物として指定されています。

沖縄県東村では「ノグチゲラ保護条例」が制定されており、無断立ち入りや騒音行為には罰則が設けられています。これにより、ノグチゲラの繁殖環境が保護され、個体数の増加が期待されています。現在、ノグチゲラは環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類（CR）に指定されています。

ノグチゲラの保護は、沖縄の生態系全体にも寄与する重要な作業となっています。そのため、地域住民や観光客の理解と協力が不可欠です。

もう一度検索