ノゲシ

ノゲシ（野芥子）とは

ノゲシ（学名: Sonchus oleraceus）は、キク科ノゲシ属に分類される越年草です。別名としてハルノノゲシ、ケシアザミ、チチグサ、ウマアザミなどがあり、日本全国に分布しています。名前には「ケシ」と付きますが、ケシ科の植物とは全く異なる系統です。中国では苦苣菜、苦滇菜、苦菜などの名で呼ばれています。

分布と生育環境

ノゲシは世界中に広く分布しており、日本では北海道から沖縄まで、各地の道端、荒れ地、畑のあぜ、人家の周りなど、人里近い場所でごく普通に見られます。ヨーロッパ原産と考えられていますが、史前帰化植物として日本に入ってきたと考えられています。

形態・生態

ノゲシは越年草（二年草）で、茎は太く、高さは50cmから100cm程度まで成長します。茎は柔らかく中が空洞になっているのが特徴です。葉は羽状に切れ込みが入り、縁には不規則な刺状の鋸歯がありますが、触っても痛くありません。葉の色は白っぽい緑色で、光沢はありません。茎や葉を切ると白い乳液が出ます。

花期は春から秋で、温暖な地域では一年を通して花を咲かせます。花は黄色い頭花で、タンポポを小さくしたような外観です。頭花の直径は約2cmで、舌状花のみで構成され、舌状花の先端には5つの歯があります。総苞は内片と外片で構成され、外片は内片の長さの半分以下です。総苞と花柄には腺毛が生えています。

果実は長さ3mmほどの楕円形で、縦の筋の他に横のしわがあります。果実にはクチバシはなく、一端に多数の白色の冠毛が付いています。

利用

ノゲシの若苗、若葉、柔らかい茎先は食用になります。一年中採取できますが、成長した葉は苦味が強いため、2月から4月頃の茎がまだ立っていない時期に採取するのがおすすめです。採取した若苗は根元から株ごと、葉は摘み取って利用します。春に採取したものは茹でて水にさらして冷ましてから、おひたし、和え物、煮浸し、油炒めなどにします。時期を過ぎて苦味が出た茎葉は茹でて水にさらしてから調理します。若苗は生のままサラダに、若葉は天ぷらとしても美味しくいただけます。

変種

ノゲシには、舌状花が白色の変種があり、ウスジロノゲシ（f. lilacina）と呼ばれています。

近縁種

オニノゲシ (Sonchus asper)

オニノゲシは、ノゲシと同じような場所に生育し、外見もよく似ています。しかし、葉の質はノゲシよりも硬く、鋸歯が鋭く尖っていて触ると痛いです。より頑丈でトゲトゲしいのが特徴ですが、紛らわしい個体も多く存在します。見分けるポイントは、葉の基部に注目すると良いでしょう。食用には適しません。

アキノノゲシ (Lactuca indica var. laciniata)

アキノノゲシは、形や雰囲気はノゲシに似ていますが、秋にキクのような花を咲かせます。葉は羽状に切れ込みますが、茎を抱きません。また、ノゲシよりも二回りほど大きく、見間違えることは少ないでしょう。分類上はアキノノゲシ属に属します。春には多数の葉をつけ、立ち上がった若い茎を折り取って、ノゲシと同じように食用にできます。

脚注

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