ノビル系

ノビル系の植物

ノビル系は、セッコク属の一群に属する洋ランの種であり、特にデンドロビウム・ノビル（D. nobile）に由来しています。この系統は、原種であるノビルをはじめとする近縁の種と、その交配によって生まれた品種を含んでいます。日本の一般的なセッコクもこの系統に近く、交配に利用されることが多いです。ノビル系の最大の特徴は、偽球茎に沿って花を咲かせることで、その美しい花姿が多くの人々に愛されています。

特徴

ノビル系は多年生の着生植物であり、多茎性のラン科の一員として知られています。偽球茎は棒状で、品種によって異なりますが、最大で約60cmに達するものもあります。これらの偽球茎は多くの節を持ち、各節には葉が生えています。葉は楕円形または卵型で、厚みがあり平坦な特徴を持っています。

開花は前年に成長した偽球茎に行われるのが一般的であり、特にノビル系の場合、以前年の偽球茎から花が咲きます。短い花茎に少数の花をつけるのがこの系統の特徴ですが、偽球茎の上部から中部、時には下部に至るまで花が密集して咲くため、全体が美しい姿で覆われます。花の形状はセッコク属の典型的なもので、唇弁は広がり気味です。

品種改良

ノビル系の品種改良は日本が世界的に見ても優れたレベルにあり、日本国内での改良は早くから行われました。最初はイギリスでの改良が盛んでしたが、実生繁殖が容易だったため、日本でも迅速に発展しました。基盤となる原種はノビルですが、他にD. aureum、D. hildebrandii、D. wardianum、D. findleyanumなども重要視されています。また、日本のセッコクはこの系統に属し、特に寒冷に強く、比較的栽培が容易な品種とされています。花色には多様性があり、ノビルの原種は白から紫、中心部は濃褐色が特徴です。さらに、ピンクや黄色の花も多く学生されていますが、赤や青の花は稀です。

栽培について

ノビル系の原産地はインド北部からヒマラヤ一帯にかけての高地であり、気候は高温時でも30℃程度と比較的穏やかです。季節による気温の変化があり、雨季と乾季が明確です。この植物は雨季に成長し、乾季に休眠するため、花芽の分化には約10℃以下の低温が必要です。この特性により、ノビル系は寒さに強く、日本では特別な温室がなくても家庭内で栽培できる点が人気です。

栽培は通常、春から夏にかけて成長し、秋から冬には低温にさらされることで花芽が形成されます。このため、冬に開花を促したり、温度管理をしっかり行えば、春に花を見ることができます。ただし、花芽の分化条件に気を配らなければならず、肥料の過剰供給により、花芽が普通の葉芽に変わってしまうことがあります。この場合、開花を楽しむことができなくなります。

植物の利用

ノビル系は一般的には洋ランとして栽培されており、この系統のものがいわゆるデンドロビウムとして知られています。古くから多くの家庭で親しまれてきた植物です。しかし、前述の理由から冬から春にかけてのみ花が出回るため、その他の時期にはほとんど流通がありません。また、花茎が短いため、切り花にはあまり向かず、主に鉢植えとして販売されています。対照的に、デンファレ系は長い花茎を持ち、切り花として流通することが多いです。

このように、ノビル系は美しい花を楽しむことができるだけでなく、栽培も比較的容易なため多くの人々に支持されています。

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