ノルウェー沖海戦

ノルウェー沖海戦は、第二次世界大戦中の1940年 6月8日にノルウェー沖で発生した海戦です。この海戦で、イギリス海軍の空母グローリアスがドイツ海軍の巡洋戦艦によって撃沈されました。この海戦は、ノルウェー侵攻作戦における連合軍とドイツ軍の戦いの中で起こりました。

背景

1940年4月、ドイツ軍はノルウェーに侵攻し、各地を占領しました。しかし、ナルヴィクでは、第1次ナルヴィク海戦と第2次ナルヴィク海戦でドイツ軍の駆逐艦が全滅し、連合軍がナルヴィクを占領しました。この状況を打開するため、ドイツ軍は戦艦シャルンホルスト、グナイゼナウ、重巡洋艦アドミラル・ヒッパーなどを出撃させ（ユーノ作戦）、ナルヴィク方面の支援を行う計画を立てました。しかし、連合軍がナルヴィクから撤退中であることが判明したため、ドイツ軍は目標を連合軍の船団へと変更しました。

海戦の経過

6月8日、連合軍は撤退する兵員を乗せた船団を空母アーク・ロイヤル、軽巡洋艦サウサンプトン、防空巡洋艦コヴェントリーと駆逐艦8隻で護衛していました。さらに、別の船団も駆逐艦とスループによって護衛されていました。また、空母グローリアスは駆逐艦2隻に護衛され、バルドゥフォスの戦闘機部隊を収容していました。

ドイツ軍は、まずノルウェーのタンカーオイルパイオニア、兵員輸送船オラマ、トロール船ジュナイパーを沈めました。その後、アドミラル・ヒッパーと駆逐艦は燃料補給のためにトロンハイムへ向かい、シャルンホルストとグナイゼナウは北にいると思われる船団を求めて北上しました。

16時46分、シャルンホルストは煙を発見し、その方向へ向かいました。そこにいたのは空母グローリアスと護衛の駆逐艦アカスタ、アーデントでした。17時32分、シャルンホルストがグローリアスに対して砲撃を開始し、17時38分に命中弾を得ました。これにより、グローリアスが行おうとしていた艦載機の発進は不可能となりました。17時42分、護衛の駆逐艦アーデントはシャルンホルストに対して魚雷を発射しましたが、外れました。17時46分にはグナイゼナウも戦闘に加わりました。グローリアスはさらに命中弾を受け、艦長ドイリー＝ヒューズ大佐も戦死しました。しかし、敵駆逐艦が煙幕を展開し、グローリアスが確認しづらくなったため、17時55分に砲撃は中止されました。再びグローリアスが煙幕から現れるまでの間に、アーデントによる雷撃が行われましたが、命中せず、逆にアーデントは副砲と高角砲によって命中弾を受け炎上、18時22分に転覆、沈没しました。

一方、18時13分ごろから煙幕が薄くなり始め、再度姿を現したグローリアスに対し、18時18分にドイツ艦は砲撃を再開しました。シャルンホルストがエンジントラブルで速度を落とすも、18時20分に受けた命中弾によってグローリアスも速度が低下しました。グローリアスは傾き、飛行甲板上の航空機が海面へ落下していきました。18時39分、アカスタの発射した魚雷のうち1本がシャルンホルストの右舷艦尾、C砲塔の下に命中しました。シャルンホルストはこれにより2500トンの浸水があり、速度が低下しました。19時10分、グローリアスが沈没しました。そして、アカスタもシャルンホルストの砲撃によって19時20分に沈みました。

戦いの結果

イギリス側は、空母グローリアスと駆逐艦2隻が撃沈されるという大きな損害を受けました。一方、ドイツ側も魚雷によってシャルンホルストが中破したため、戦線を離脱しました。この海戦の結果、ナルヴィクから撤退する兵員を乗せた輸送船団は攻撃を受けずに済みました。ノルウェー沖海戦は、第二次世界大戦における海戦の一例であり、空母が戦艦と対峙した場合のリスクを示唆する出来事となりました。また、戦術的な観点からは、煙幕の使用や雷撃戦術の重要性も浮き彫りになりました。

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