ノルデンフェルト 1インチ機砲

ノルデンフェルト 1インチ機砲の概要

ノルデンフェルト1インチ機砲（1-inch Nordenfelt gun）は、1870年代末から1880年代初頭にかけて登場した、早期の機砲の一つです。特に、大型艦船が新興の高速水雷艇による攻撃に対抗するために設計されたこの砲は、当時の海上戦術において重要な役割を果たしました。

設計と性能

この機砲は、ヘルゲ・パールクランツが設計したノルデンフェルト式機銃の大型版であり、手動のクランクシステムにより連射が可能です。装備された火器は水雷艇に十分な火力を提供し、かつ射撃速度も兼ね備えています。砲弾の材料には、鋼鉄と真鍮製薬莢が使用されており、これは1868年に結ばれた約束により炸薬の使用が制限されたことが影響しています。特筆すべきは、距離200ヤードで1.25インチの厚さの鉄製装甲板を貫通できる威力を持っていた点です。

バリエーションと操作法

ノルデンフェルト機砲には、多様なバージョンがあり、銃身が1本、2本、4本といった様々なタイプが存在しました。弾薬供給は、上部の箱形弾倉から重力によって行われ、射手は右側のレバーを操作することで、装填から射撃までの一連の動作を行います。このレバーを前に押すと射撃が行われ、引くと排莢、さらに押すことで装填が完了します。この操作は斉射にひとまとめにされ、結果として安定した射撃速度が実現されています。二人一組のチームがこの機砲を操作し、射手が射撃を行う一方で、指揮官は照準や角度調整を担当しました。

歴史的な背景と日本での使用

1880年代中頃には、オチキスやノルデンフェルトによって新たに47mmや57mmの速射砲が開発され、いずれも炸薬を使用できる3ポンドから6ポンドの弾薬を用いることが可能となったため、ノルデンフェルト機砲は徐々にその地位を失っていきました。

特に日本においては、ノルデンフェルト機砲の4連装型が輸入され、「一尹四連諾典砲」と称されました。日本は1868年の条約に加わっていなかったため、榴弾を使用することが可能でした。この砲は、戦艦金剛、比叡、扶桑、および大和、武蔵など、さまざまな艦艇に搭載され、日露戦争などでの活躍が記録されています。日露戦役海軍写真帖には、その使用時の様子が写し出されており、当時の海軍における重要性を物語っています。

結論

ノルデンフェルト1インチ機砲は、早期の機砲において注目すべき存在であり、その設計と性能は大きな影響をもたらしました。現代の火器と比較すると、性能は限られていますが、その運用方法や火力は、当時の戦術において革新をもたらした重要なものであったと言えるでしょう。

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