ノルマルム広場強盗事件

ノルマルム広場強盗事件

ノルマルム広場強盗事件は、1973年にスウェーデンのストックホルムで発生した、銀行強盗人質事件です。この事件は特にストックホルム症候群という心理的現象の起源となったことで知られています。ストックホルム症候群とは、犯人に対して人質が情緒的なつながりを持つ心理状態を指します。

事件の発生状況

1973年8月23日、仮釈放中のジャン・エリック・オルソンがサブマシンガンを持ってストックホルム中心部にあったクレジットバンケンに押し入りました。オルソンは、最初に到着した警官に発砲し、一名を軽傷にする事態を引き起こします。その後、彼は9人の銀行員を人質に取り、警察との交渉を始めました。

交渉の結果、オルソンは5人の人質を解放しましたが、残りの女性3人と男性1人は銀行内に留まることになり、オルソンは300万クローネの現金を要求し、さらに彼の友人であるクラーク・オロフソンの解放も求めました。オロフソンはスウェーデンで非常に有名な銀行強盗であり、犯罪歴が豊富な人物でした。

警察との対峙

警察はオルソンの要求に応じて、現金を提供し、オロフソンを現場に呼び寄せました。さらに、逃走用の車も提供されることとなりましたが、その際にも人質を連れ出すことは許されませんでした。事件の最初の数日間、警察とオルソンの間で緊迫した交渉が続きました。

8月25日、警察は人質の安全を考慮し、金庫室の封鎖を行い、食料の提供要求を拒否しました。2日後、警察は金庫室への通路に穴を開け、武器を置いて投降するように説得しました。オルソンはその穴に向かって発砲し、警察官を負傷させる事態が発生しました。さらに、オルソンは首相に脅迫電話をかけ、人質の命を盾に取りました。

突入と事件解決

最終的に、8月28日夜、警察は催涙ガスを使用する強硬策を講じ、オルソンとオロフソンはそれに気づき、自ら金庫外に出てきました。そこで二人は逮捕されましたが、人質は大きな傷を負うことなく解放されました。事件解決後、当時の首相オロフ・パルメが現場に駆けつけたことも話題になりました。

事件のその後

オルソンは事件後、懲役10年の判決を受け、1980年に出所しました。その後は自動車販売の仕事をしながら社会に復帰しました。しかし、経済犯罪での立件の疑いから追われ、10年間も逃亡生活を送ります。2006年に自ら出頭した際には嫌疑は既に晴れていたため、再び社会に戻ることができました。彼はタイに住み、現地の女性と結婚して生活をしています。

一方、オロフソンはその後も犯罪を重ね、再三の逮捕を経験しました。この事件は、スウェーデンにおいて多くの人々に影響を及ぼし、2013年には事件から40周年を迎え、様々なメディアに取り上げられました。特にこの事件に関するインタビューや特集がテレビや新聞で報じられ、いまだに多くの関心を集めています。

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