ノロドム・ラナリット

ノロドム・ラナリット

ノロドム・ラナリット（1944年1月2日 - 2021年11月28日）は、カンボジアの王族であり、政治家として知られています。第51代国王ノロドム・シハモニの異母兄にあたります。

生涯

生い立ちと初期の活動

第50代国王ノロドム・シハヌークの第二王子としてプノンペンで生まれました。1983年、父王シハヌークの代理人としてバンコクで政治活動に参加し、そのキャリアをスタートさせました。

カンボジア政界での台頭

1991年10月のパリ和平協定後、カンボジア最高国民評議会議長に就任。1993年の総選挙では、自身が率いるフンシンペック党が予想を覆して第一党となり、フン・セン率いる人民党との二頭体制で政権を担うことになりました。同年9月には、王政復古に伴い第一首相に就任しました。

1997年の政変と亡命

1997年7月、ラナリットが国外訪問中にプノンペンでフンシンペック派と人民党派の武力衝突が発生。フンシンペック派は敗北し、ラナリットは首相を解任され、国外追放処分を受けました。その後、国際社会に介入を訴え、フンシンペック派兵士はポル・ポト派と共にタイ国境地帯で戦闘を継続しました。

帰国と議長就任

国際社会の働きかけにより、1998年3月に父王の恩赦で帰国。同年7月の総選挙では人民党が第一党となりましたが、ラナリットは同年9月に国民議会議長に就任しました。

その後の政治活動

2004年10月、父王が退位を表明すると、国民的人気から次期国王候補と目されましたが、「政治に専念する」として辞退。その後、弟のシハモニを国王に選出した王室評議会議員の一人となりました。

2006年3月に国民議会議長を辞任。同年10月にはフンシンペック党首を解任され、同年11月にノロドム・ラナリット党を結成し党首に就任。2007年には、党資産の不正売却疑惑で禁固刑の判決を受け、マレーシアに滞在しました。

政界引退と復帰

2008年に恩赦で帰国し、一時政界引退を表明しましたが、2010年には再び政界復帰。ノロドム・ラナリット党の党首に復帰し、王党派の再結集を目指しました。しかし、2012年には再び政界引退を表明。

2014年には再度政界に復帰し、新党「王党派国民政党のコミュニティー」を立ち上げました。2015年にはフンシンペック党首に再び選出されています。

晩年

2018年6月、シアヌークビルで交通事故に遭い重傷を負い、同乗していた妻が亡くなりました。2021年11月28日、滞在先のフランスで薨去。77歳でした。

ノロドム・ラナリットは、カンボジアの激動の現代史において、常に重要な役割を果たした人物でした。その政治手腕と波乱万丈な生涯は、多くの人々に記憶されることでしょう。

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