ノヴィ・グラード (ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦)

ノヴィ・グラード：サラエヴォの発展と変遷を象徴する自治体

ノヴィ・グラード（Novi Grad）は、ボスニア・ヘルツェゴビナを構成する主要な自治体の一つであり、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦に属し、サラエヴォ県に位置しています。スタリ・グラード、ノヴォ・サラエヴォ、ツェンタルと共に、首都サラエヴォを構成する重要な一角を担っています。

歴史：急成長と紛争の傷跡

1970年代、サラエヴォは目覚ましい経済発展と文化的な隆盛を経験し、それに伴い人口と産業規模が拡大しました。ノヴィ・グラードは、この時期の急速な都市拡大の象徴として誕生しました。かつては原野であったこの地域は、共産主義による都市開発の中心地として変貌を遂げ、多くの集合住宅が建設されました。この都市開発の中で、ノヴィ・グラードは正式に自治体としての地位を確立しました。発足当初、ノヴィ・グラードには約6万人の住民と18の街区が存在していました。

しかし、1990年代初頭のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争は、ノヴィ・グラードに深刻な影響を与えました。多くの住民が戦火を逃れ、または命を落としました。自治体の一部はセルビア人勢力の占領下に置かれ、サラエヴォ包囲の間、町は丘の上からの砲撃に晒されました。紛争の結果、ノヴィ・グラードに存在する33,517戸の住宅のうち、92%が何らかの損害を受けました。

紛争終結後、ノヴィ・グラードは急速な復興を遂げました。街には銃弾の痕跡や砲撃の跡が残るものの、主要な建物は修復され、再び利用可能となっています。サラエヴォの他の地域と同様に、ノヴィ・グラードでも新たな開発プロジェクトが進行中です。その代表例として、ボスマル・シティ・センター（Bosmal City Center）が挙げられます。

人口動態：変遷の歴史

ノヴィ・グラードの人口構成は、歴史的な出来事や社会の変化によって大きく変動してきました。

1971年

合計: 111,811人
セルビア人: 45,806人 (40.96%)
ムスリム人: 37,147人 (33.22%)
クロアチア人: 17,491人 (15.64%)
ユーゴスラビア人: 5,798人 (5.18%)
その他: 5,569人 (5.00%)

1991年

合計: 136,616人
ムスリム人: 69,430人 (50.82%)
セルビア人: 37,591人 (27.51%)
クロアチア人: 8,889人 (6.50%)
ユーゴスラビア人: 15,580人 (11.40%)
その他: 5,126人 (3.77%)

2002年

2002年の推計では、ノヴィ・グラードの人口は122,636人とされ、そのうち88%がボシュニャク人（ムスリム人）、8%がセルビア人、4%がクロアチア人となっています。

2005年

2005年の推計では、人口の86%がボシュニャク人であると報告されています。

これらのデータから、ノヴィ・グラードの人口構成が紛争の影響を受け、ボシュニャク人の割合が増加したことがわかります。

現代のノヴィ・グラード

紛争の傷跡を残しつつも、ノヴィ・グラードは着実に復興を遂げ、現代的な都市として発展を続けています。新たな住宅や商業施設の建設が進み、サラエヴォの重要な一部として、その役割を果たしています。

関連情報：

サラエヴォ
サラエヴォ県
* ノヴィ・グラード自治体公式サイト

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