ノーサンプトンの戦い (1460年)

ノーサンプトンの戦い：薔薇戦争におけるヨーク派の勝利

ノーサンプトンの戦いは、1460年7月10日にイングランドのノーサンプトン郊外で行われた、薔薇戦争における重要な戦いの一つです。この戦いは、ヨーク派とランカスター派の間の激しい権力闘争の過程で起こりました。

戦いの背景

1459年のラドフォード橋の戦いでヨーク派は大敗を喫し、主要な指揮官たちは国外へ逃亡しました。しかし、ランカスター派がヨーク派の残党を徹底的に排除しようとしたことが、かえってヨーク派の再起を促すことになります。ウォリック伯はサンドウィッチを襲撃して艦隊を強奪するなど、ランカスター派に対する抵抗を続けました。

戦いの経緯

1460年6月、ウォリック伯、ソールズベリー伯、マーチ伯らは兵を率いてイングランドに上陸し、ランカスター派のヘンリー6世がいたコヴェントリーを目指しました。ロンドンを掌握したヨーク派は、ランカスター派を撃破するために北西へ進軍し、ノーサンプトン郊外で両軍が対峙しました。

ランカスター軍はネーネー川を背にした防御陣地を構築し、大砲や塹壕で守りを固めていました。一方、ヨーク派は雨の中の行軍で疲弊していました。ウォリック伯はヘンリー6世との交渉を試みましたが拒否され、戦闘は不可避となりました。

戦闘の展開

ヨーク派はフォーコンバーグ卿、マーチ伯、ウォリック伯の指揮の下、縦列で進軍を開始しました。激しい雨の中、ヨーク派はランカスター派の陣に接近します。その時、グレイ卿の部隊がヨーク派に寝返り、ランカスター派の本陣に攻撃を仕掛けました。この寝返りが戦局を大きく左右し、ランカスター派の防衛線は崩壊しました。

バッキンガム公らはヘンリー6世を守るために戦死し、ランカスター兵は多数が殺害されました。ヘンリー6世は捕らえられ、再びヨーク派の傀儡となりました。ロンドン塔の守備隊も降伏し、ヨーク派が優位に立ちました。

戦いの影響

ノーサンプトンの戦いはヨーク派にとって大きな勝利となりましたが、マーガレット王妃はウェールズへ逃れて抵抗を続けました。ヨーク公が王位を要求しましたが認められず、薔薇戦争は終結には至りませんでした。しかし、この戦いはヨーク派の勢力を大きく拡大し、その後のイングランドの歴史に大きな影響を与えることになりました。

参考文献

尾野比左夫『バラ戦争の研究』近代文芸社、1992年。
松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
* トレヴァー・ロイル著、陶山昇平訳『薔薇戦争新史』彩流社、2014年。

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