ノースフィールド・マナー・ハウス

ノースフィールド・マナー・ハウスの歴史

イングランド中部、バーミンガムの郊外に存在するノースフィールド・マナー・ハウスは、かつてジョージ・キャドバリーとその妻エリザベスが住んでいた歴史的な邸宅です。現在もバーミンガム大学が所有しており、地域の重要な文化財として知られています。

このマナー・ハウスが位置する地域には、1750年頃からジャーヴォワーズ家が所有する荘園（マナー）があり、当時は農場の建物が存在していたことが記録されています。1809年に、ロンドンの商人ダニエル・レッザムがこの邸宅を購入し、既存の建物にさまざまな増改築を施しました。その結果、現在見られる主屋の形態が整えられたと考えられています。

ジョージ・キャドバリーがこの邸宅を取得したのは1890年のことです。彼は1894年にバーミンガム郊外のセリー・オークにあるウッドブルックの邸宅からこの地へ移り住みました。キャドバリー夫妻は、ジョージが1922年に亡くなるまでの間、ここで共に暮らしました。エリザベスはその後も長きにわたりこの地に住み続け、1951年に93歳で亡くなるまでこの家を大切にしていました。

邸宅のその後の変遷としては、ホランド・W・ホビスによって学寮に改装されたことがあり、さらなる増棟も行われました。建物自体はチューダー様式を基にしつつ、煉瓦と石、そして木材フレーミング工法が取り入れられています。特に、突き出したポーチと湾曲した出窓は、初期のキャドバリー社の工場建築を手がけたジョージ・ガッドによるデザインだと推察されています。また、内部はジャコビアン様式に装飾されており、羽目板や多くの彫刻装飾が施されています。

ノースフィールド・マナー・ハウスは、地元ではグレードAに分類される保存建築として認識されており、重要文化財建築物としての登録申請が試みられた過去もあります。しかし、2010年には英国内の文化遺産保護機関であるイングリッシュ・ヘリテッジによってその申請は却下されています。こうした背景からも、この邸宅は地域の歴史や文化を感じさせる貴重な存在であることが伺えます。

この場所は、ただの建物ではなく、地域のアイデンティティと深く結びついており、訪れる人々に歴史と文化を伝える重要な役割を果たしています。ノースフィールド・マナー・ハウスに触れることで、イングランドの豊かで奥深い歴史に思いを馳せることができる場所です。

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