ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ

ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ（英語: Northrop Grumman Innovation Systems）は、アメリカ合衆国に拠点を置く航空宇宙および防衛分野の有力企業です。大手防衛関連企業であるノースロップ・グラマンの傘下企業であり、2018年に同社によって買収されたオービタルATK (Orbital ATK Inc.) を前身としています。

オービタルATK自体も、宇宙技術を手掛けるオービタル・サイエンシズと、特に推進システムに強みを持つアライアント・テックシステムズ（ATK）の航空宇宙部門が統合し、2015年に発足した企業です。両社は合併以前から、ATK製のロケットモーターをオービタル・サイエンシズの打ち上げ機に多数採用するなど、長年にわたり緊密な協力関係を築いていました。

沿革

現在のノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズに至る流れは、まず2014年4月29日の発表から始まります。この日、オービタル・サイエンシズとアライアント・テックシステムズ（ATK）の航空宇宙関連部門が合併し、新たな企業を設立することが公表されました。この統合手続きは順調に進み、2015年2月9日に完了。ここにオービタルATKが正式に誕生しました。同時に、ATKが手掛けていたスポーツ用品事業は、ビスタ・アウトドア（Vista Outdoor）として独立した企業となりました。

オービタルATKとして活動していた期間中、同社は多岐にわたる宇宙および防衛関連プロジェクトに従事しました。しかし、その歴史は新たな転換期を迎えます。2017年9月18日、ノースロップ・グラマンがオービタルATKを、負債を含めて総額92億ドルで買収することを発表。この買収は、両社の事業ポートフォリオを補完し、競争力を強化することを目的としていました。翌2018年6月5日には買収手続きが完了し、オービタルATKはその名称をノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズに改め、ノースロップ・グラマンの事業部門の一つとして再出発を果たしました。

組織と主な事業内容

ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズは、その多様な事業内容を効率的に推進するため、主に三つの主要なグループに組織されています。

### フライトシステムグループ
アリゾナ州チャンドラーを拠点とするこのグループは、各種打ち上げ機や固体燃料ロケットシステムの開発、製造、運用を担当しています。同社が開発・運用する打ち上げ機には、空中発射型のペガサス、ミノタウロス、国際宇宙ステーションへの補給ミッションを支えるアンタレスなどがあります。特に注目すべき点として、衛星などを軌道へ投入するために使用するペガサス・ロケットの空中発射母機として、ロッキードL-1011トライスター旅客機を1機運用しており、これは現在世界で唯一活動している同型機のオペレーターとして知られています。また、かつてスペースシャトルの固体燃料補助ロケットで培われた技術を基に、NASAの次世代大型ロケットであるスペース・ローンチ・システム（SLS）用の5セグメント型固体燃料ブースターの開発契約を引き継ぎ、重要な役割を担っています。

### 防衛システムグループ
メリーランド州ボルチモアに本部を置くこのグループは、幅広い防衛関連製品およびシステムの提供を行っています。戦術ミサイルシステムや、防衛用途の先進的な電子機器の開発・製造が主な業務です。また、中口径から大口径にわたる火砲およびその弾薬、さらにそれらに不可欠な信管や弾頭の製造も手掛けています。その他にも、軍用機や装甲戦闘車両、ミサイルシステムなどに使用される精密な金属部品や複合材部品の製造、中口径弾薬の装薬、組み立て、梱包プロセス、さらにはミサイルキャニスターや民生市場向けの推進薬、火薬類の製造などもその事業範囲に含まれており、多岐にわたる防衛ニーズに応えています。

### 宇宙システムグループ
バージニア州ダレスに主要な拠点を置くこのグループは、各種衛星システムの設計、製造、および運用を専門としています。手掛ける衛星は、商業通信衛星、科学探査衛星、国家安全保障に関わる軍事衛星など、非常に多岐にわたります。また、このグループは国際宇宙ステーション（ISS）への重要な貨物輸送ミッションを担う無人補給船「シグナス」宇宙船の開発と運用も担当しており、宇宙における継続的な有人活動を技術的に支える重要な役割を担っています。

これらの多角的な事業を通じて、ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズは、宇宙探査から国家防衛に至るまで、幅広い分野で先端技術を提供し続けています。

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