オービタル・サイエンシズ

オービタル・サイエンシズ：宇宙開発における足跡

オービタル・サイエンシズ社（Orbital Sciences Corporation、略称OSC）は、アメリカを代表する宇宙開発企業として、人工衛星の製造と打ち上げにおいて重要な役割を果たしていました。バージニア州ダレスに本社を置き、衛星技術だけでなく、ミサイル防衛システムにも関わっていた多角的な企業でした。かつては、ORBIMAGE（後のGeoEye）やGPSレシーバーのMagellan lineも傘下に収めていましたが、これらは後にタレス社に売却されています。

幅広い事業展開

OSCの事業は多岐にわたっていました。国際宇宙ステーション（ISS）への補給活動では、NASAとの19億ドル規模の契約に基づき、シグナス無人宇宙船による8回の補給ミッションを成功させました。このシグナス宇宙船は、アンタレスロケットによって打ち上げられました。さらに、NASAの有人宇宙船開発にも携わり、オリオン宇宙船の打ち上げ脱出システム（LAS）の開発にも貢献しました。

多様なロケット技術

OSCは独自のロケット技術も保有しており、ミノタウロス、ペガサス、トーラスといった様々なタイプのロケットを開発・運用していました。中でも、ミノタウロスシリーズは固体燃料ロケットとして、多様な衛星の打ち上げに利用されました。また、ケロシン/液体酸素と固体ロケットブースターを組み合わせたアンタレスロケットは、大型ペイロードの打ち上げ能力を誇っていました。

ミサイル防衛への貢献

宇宙開発に加え、OSCはアメリカ合衆国のミサイル防衛システムにも貢献しました。Ground-Based Midcourse Defense (GMD) のOrbital Boost Vehicle (OBV) やKinetic Energy Interceptor (KEI)といったシステムの開発、そして標的ミサイルの製造にも携わっていました。

衛星技術と宇宙探査

OSCは、商業通信衛星などに利用されるSTARシリーズ衛星バスの開発を行い、数多くの静止軌道衛星や低軌道衛星の開発・打ち上げに貢献しました。GALEX、SORCE、OCO、OCO-2、NuSTARなど、数々の科学衛星の開発にも参加しています。さらに、惑星探査機ドーンやIBEXの開発にも参画するなど、宇宙探査の分野でも実績を残しています。

世界各地の射場

OSCは、アメリカ国内のヴァンデンバーグ空軍基地、ケープカナベラル空軍基地、ワロップス飛行施設、コディアック打上げ基地、エドワーズ空軍基地、そして海外のクェゼリン環礁、カナリア諸島、太平洋ミサイル試射場など、世界各地の射場を利用して、ロケット打ち上げを実施していました。

オービタルATKへの合併とノースロップ・グラマンへの買収

2014年、OSCはATK社の航空宇宙・防衛部門と合併し、「オービタルATK社」を設立しました。しかし、この合併会社も2018年にはノースロップ・グラマン社に買収され、ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズの一部となりました。

まとめ

オービタル・サイエンシズ社は、宇宙開発における多様な技術と経験を蓄積し、多くの実績を残した企業でした。ISS補給、衛星開発・打ち上げ、ミサイル防衛システムへの貢献など、その活動は多岐にわたり、アメリカ合衆国の宇宙開発史に大きな足跡を残しました。ノースロップ・グラマンの一部門となった現在も、その技術と経験は、より高度な宇宙開発に貢献していると言えるでしょう。

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