ノートルダム大聖堂 (アミアン)

アミアンのノートルダム大聖堂：ゴシック建築の金字塔

フランス北部、アミアン市にそびえ立つアミアンのノートルダム大聖堂は、ゴシック建築の最高傑作の一つとして名高いカトリック教会です。1981年にはユネスコの世界遺産に登録され、その歴史的・芸術的価値は世界的に認められています。正式名称は「アミアンにおける我らが貴婦人（聖母マリア）の大聖堂」で、しばしばアミアン大聖堂と略称されます。

圧倒的なスケールと荘厳な空間

アミアン大聖堂は、フランスで最も高い大聖堂として知られています。その内部空間は、約20万立方メートルにも及ぶ広大なもので、フランス最大級を誇ります。特に、身廊のヴォールトの高さは42.3メートルと、フランスで最も高いヴォールトです。この巨大な空間は、来訪者に圧倒的な畏敬の念を抱かせます。大聖堂が位置するアミアンは、パリから北へ100キロメートル以上離れたソンム川渓谷にあり、ピカルディ地方の中心都市として栄えてきました。

数奇な歴史と建築家たちの貢献

アミアン大聖堂の建築に関する資料は、1218年の火災と1258年の火災によって多くが失われています。これらの火災は、参事会の公文所保管所を破壊し、大聖堂にも大きな被害を与えました。

それでも、1220年から建築が始まり、複数の建築家がその建設に携わりました。エブラール・ド・フイイ司教の指揮の下、ロベール・ド・リュザルシュ（1228年まで）、トマ・ド・コルモン（1258年まで）、そして彼の息子であるルノー・ド・コルモン（1288年まで）と、各時代の卓越した建築家が技術と才能を注ぎ込みました。コルビーの年代記には、1266年に完成したと記されていますが、実際にはその後も細部の仕上げ作業が続けられました。1288年には、建築家たちの功績を称え、彼らの肖像が刻まれた敷石が設置されました。これは、大聖堂の最終的な完成を象徴する出来事でした。

精緻な装飾と聖遺物の存在

アミアン大聖堂の見どころは、数多くの精緻な装飾と彫刻です。聖母マリアを主テーマとし、正面中央の扉口（ポルタイユ）には「最後の審判」が、南側には聖母マリア、北側には聖フィルマンなどの聖人が描かれています。ティンパヌムや扶壁にも多くの彫像があり、バラ窓の下にはユダヤ王のギャラリーも存在します。

また、大聖堂にはバプテスマのヨハネの頭部とされる聖遺物が安置されています。これは、第4回十字軍から帰還したワロン・ド・サルトンがコンスタンティノープルから持ち帰ったものです。この聖遺物は、大聖堂の歴史と宗教的な重要性を象徴する存在です。

夏と新年の時期には、「ソン・エ・リュミエール」と呼ばれる音と光のショーが開催され、大聖堂のファサードを美しく照らし出します。このショーでは、彫像が本来持っていた色を再現し、大聖堂の建造当時の姿を垣間見ることができます。

建築様式の変遷と空間構成

1218年の火災後の建設において、最初の建築家ロベール・ド・リュザルシュは、ファサードを含む教会堂全体の設計を行い、1236年には外陣とトランセプトの側廊が完成していました。その後、内陣の側廊や周歩廊、礼拝室の工事にも関与した可能性があり、内陣とトランセプトの大アーケードより上の部分は、後継者であるトマ・ド・コルモンとその息子レニョー・ド・コルモンによるものと考えられています。外陣の側廊の当初の姿は、後世に増築された礼拝室を取り除かなければ正確に把握できませんが、側廊は当初、現在よりずっと圧巻のものであったと考えられています。

世界遺産としての価値

アミアン大聖堂は、「人類の創造的才能を表現する傑作」であり、「建築の発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの」として、世界遺産登録基準(1)(2)を満たし、世界遺産に登録されています。その壮大なスケール、精緻な装飾、そして歴史的背景は、多くの人々を魅了し続けています。

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