ノーム・エ・ローヌ

ノーム エ ローヌの歴史と影響

ノーム エ ローヌ（Gnome et Rhône）は、フランスの航空機エンジンおよびオートバイ生産を専門とする企業です。その起源は1915年に遡り、ノーム（Gnome）とル・ローヌ（Le Rhône）の二つの会社が合併して誕生しました。この合併により、両社の強力な技術力と資源が結集され、航空業界において重要なプレイヤーとなりました。

航空機エンジンの製造

ノーム エ ローヌは、第一次世界大戦中に大量の航空機用エンジンを製造しました。特に、星型9気筒110馬力のデルタ（Delta）やル・ローヌエンジンといったロータリーエンジンは、約25,000基が生産され、多くの戦闘機に搭載されました。これらのエンジンは、同時に約75,000基がライセンス生産されるなど、その重要性は計り知れません。両陣営で使用され、戦争の行方を左右する一因となりました。

戦間期には、ブリストル ジュピターを基に新たなエンジンシリーズの設計に着手し、1,000馬力級の「ミストラル・メジャー」を開発しました。これも他国において広くライセンス生産され、第二次世界大戦中に多くの国で使用されました。

第二次世界大戦とその後

しかし、1940年にナチス・ドイツのフランス侵攻が発生し、ノーム エ ローヌの工場はドイツ軍に接収されました。この際、ドイツでのエンジン生産がストップし、Hs 129（B-0以降）に14Mエンジンが搭載されるという異例の事態が発生しました。

1949年には、スネクマ（Snecma）の一部門として国有化されましたが、ブランドはオートバイの製造に関しては残り、その存在は続いています。ノーム エ ローヌは、その革新的な技術と生産能力によって航空機エンジンの分野に多大な影響を与えました。

エンジンの種類

同社が製造したエンジンには、以下のようなものがあります：

• - 第一次世界大戦時：デルタ、ガンマ、モノスパプ（Monosoupape）、オメガ
• - 戦間期：5K Titan、9K Mistral、14K Mistral Major
• - 第二次世界大戦時：14M Mars、14N、14R

また、日本では東京瓦斯電気工業が陸軍の指示により、ル・ローヌ 9Cと9Jのライセンス生産を行っており、これらはそれぞれロ式八〇馬力発動機、ロ式一二〇馬力発動機として利用されていました。

オートバイの製造

第一次世界大戦後、同社は航空機エンジンからの需要の減少を受けてオートバイ製造へと事業を多角化しました。英国のABCモーターサイクルから製造ライセンスを獲得し、1923年には独自設計のオートバイを販売開始しました。特に2行程175CCの「タイプE」、4行程500CCの「タイプB」と「タイプC」が人気を博しました。大統領警護隊用のバイクも供給するなど、多くの展開を見せましたが、1959年にはバイク生産を終了し、スネクマの一部門として存続しました。

まとめ

ノーム エ ローヌは、航空機エンジンとオートバイの製造を通じて、フランスの工業史に名を刻んだ重要な企業です。特に航空分野における多様な技術革新は、現在の航空機エンジン技術の基礎を形成しています。

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