ノーリアン

ノーリアン期について

ノーリアン（英: Norian）は、約2億2700万年前から約2億850万年前までの後期三畳紀にあたる地質時代です。この名称は、オーストリアのドナウ川南岸に由来する古代ローマの地名に基づいています。なお、「ノール階」という言葉も存在しますが、それは地層を指す層序名であり、時代名とは異なるため注意が必要です。時代名「ノーリアン」と層序名「ノール階」は、それぞれ独立した概念です。

ノーリアン期の出来事

約2億1500万年前には、直径3.3から7.8キロメートルの巨大隕石が地球に衝突しました。この隕石による影響を示す証拠として、日本の岐阜県坂祝町や大分県津久見市で見つかった粘土岩には、高濃度のオスミウムや低オスミウム同位体比が検出されています。これらの特徴は、隕石からのものであることを示唆しており、その結果、オスミウムが海洋に供給され、海底に堆積したと考えられています。この隕石衝突が生物多様性に与えた影響は計り知れず、基礎生産は甚大な影響を受け、回復には長い時間を要しました。特に、放散虫はかつての生産量を取り戻すまでに約30万年の歳月がかかったと言われています。

生物多様性の変遷

ノーリアン期には、カーニアンからヘッタンギアンにかけて二枚貝の科が急増した一方で、三畳紀で最も繁栄していたアンモナイトのセラタイト目は多様性を大きく失い、次のレーティアン期には絶滅しました。タイ王国のコラート層群においては、ノーリアンからレーティアンにかけてのストラタが確認されています。特にプー・クラドゥエン地域では、1個体の恐竜による6つの足跡化石が発見され、足跡は41.5センチメートルの長さと260センチメートルの歩幅を持ち、大型獣脚類が時速約5キロメートルで歩行していたと推測されています。この発見は、後期三畳紀におけるタイの北東部に大型獣脚類が生息していたことを示しています。

日本での発見

日本においてもノーリアン期の痕跡が確認されています。岐阜県犬山地域の美濃帯上部三畳系では、カーニアンからノーリアンにかけての古地磁気の記録が得られており、この地域の堆積物は北半球の低緯度および高緯度であることが示唆されています。また、愛知県蔵王山の石灰岩からはノーリアン期に特有のコノドント化石が見つかっており、その石灰岩は前期ノーリアン階に相当すると考えられています。

さらに、山口県の秋吉帯や四国中央部の黒瀬川構造体の伊野累層からは、ノーリアン期の放散虫化石が確認されています。特に宮崎県高千穂町の黒仁田からは、ノーリアン期のメガロドン（二枚貝）が報告されており、これは宮崎県で初めて発見されたケースです。このように、ノーリアン期は多様な生物の変遷を透かし見ることができる重要な時代として位置づけられています。

結論

ノーリアン期は地質学的にも生物学的にも重要な時代であり、隕石衝突による影響や生物多様性の変化は、今後の研究においても注目され続けるでしょう。日本国内での多くの発見は、ノーリアン期の理解を深めるための大きな手掛かりとなっています。

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