ノールダイン ノースマン

ノールダイン ノースマン（Noorduyn Norseman）

ノールダイン ノースマンはカナダのブッシュ・プレーン（未開地用汎用機）であり、その設計は1930年代に遡ります。カナダ・モントリオールにおいて、Robert B.C. Noorduynが創設したNoorduyn Aircraft Limitedは、1935年にこの機体を製作しました。机体は高翼の単葉機で、特徴的には鋼管溶接構造と木製のストリンガー、そして羽布張りによる胴体と翼を持ち、しなやかで強固な構造が採用されています。

ノースマンは、降着装置として車輪、スキー、フロートを選択できるように設計されており、多様な環境での運用が可能です。最初のノースマンは1935年11月14日にフロートを装着した状態で初飛行を果たしました。この機体は、ドミニオン・スカイウェイズに売却され、1936年に「CF-AYO」として登録され、“Arcturus”と命名されました。このノースマンは、1941年に映画『Captains of the Clouds』で使用され、当時の名優、ジェームズ・キャグニーと共演しました。

ノースマンはその信頼性の高さから次第に人気を博し、販売数を伸ばしていきました。最初に登場したモデルはMk Iという型式名が与えられ、次のモデルであるMk IIでは、エンジンがより強力なホワールウィンドからプラット・アンド・ホイットニー ワスプに変更されるなどの改良が行われました。Mk III、Mk IVもそれに続き、Mk IVは最終型として多くの機体が製造されました。特に第二次世界大戦の勃発により、ノースマンの必要性が高まり、数百機が生産されることとなります。

1940年までに、カナダの商業航空会社と山岳警察隊が17機を購入しましたが、すぐに戦争のためにカナダ空軍が38機を発注しました。アメリカ陸軍のニーズにも応える形で、無線通信や航法訓練に使用されるための改造機YC-64Aが開発され、最終的に749機が注文されることになります。これらの機体はアラスカを含む北アメリカ全土で運用され、一部はアメリカ海軍によっても利用されました。

また、有名な音楽家グレン・ミラーが行方不明となった際に搭乗していたことでも話題になりました。戦後、ノースマンの製造権はCanada Car and Foundry（通称Can Car）に譲渡されましたが、Mk VIIの開発は進まず、1951年の工場火災によって失われることとなりました。

1953年、Robert B.C. Noorduynの後継者グループによって新たにNoorduyn Norseman Aircraft Ltd.が設立され、その後も3機のMk Vが製造されました。1959年には、最終機が引き渡され、合計903機のノースマンが製造されたことになります。ノースマンはその多用途性から、今もなお評価され続けている機体であり、航空史における重要な存在となっています。

要目 (C-64A)

• - 乗員：1名
• - 全長：9.6 m
• - 全幅：15.7 m
• - 全高：3.0 m
• - 空虚重量：1,929 kg
• - 全備重量：3,356 kg
• - エンジン：プラット・アンド・ホイットニー R-1340AN-1 (600 hp)
• - 最高速度：260 km/h
• - 巡航高度：5,181 m
• - 航続距離：1,851 km

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