ハイアー・グラウンド

ハイアー・グラウンド (Higher Ground)

スティーヴィー・ワンダーの「ハイアー・グラウンド」は、彼が1973年に発表した楽曲であり、転生をテーマにした深い歌詞が特徴です。ワンダー自身もこのテーマを意識しており、インタビューでその意義を語っています。この曲はまさに彼の音楽的な探求心を反映した作品と言えるでしょう。

この楽曲が収録されたアルバム『インナーヴィジョンズ』は、1973年8月3日の発表から間もなく、同年8月6日に彼が行ったコンサートでその存在感を示しました。しかし、その後の出来事は悲劇的でした。ワンダーは友人が運転する車に乗車中、ノースカロライナ州ダーラムで交通事故に遭遇し、前方のトラックから転がり落ちた丸太がフロントガラスを突き破り、彼の額に衝突してしまいます。その結果、彼は脳挫傷を負い、10日間の昏睡状態に陥るという試練に見舞われました。

曲の中では、様々な社会的問題に目を向けながら、「権力は嘘を言い続ける」といった鋭い批判が展開されます。歌詞の一部には、「世界は回り続ける／ぼやぼやしてる暇はもうないから／俺はひどくうれしい」といったメッセージが含まれ、人生の苦しい試練からの再生や、希望を見出す姿勢が感じられます。

「ハイアー・グラウンド」は1973年7月にシングルA面としてリリースされ、B面には「トゥ・ハイ」が収録されています。この曲はビルボードのHot 100で4位、ソウル・チャートで1位を獲得。特に1973年の年間チャートでも62位にランクインするなど、彼のキャリアにおける重要な楽曲となりました。また、カナダのチャートでは9位、イギリスでは29位、フランスでは16位を記録し、その人気は国を超えて広がりました。

2020年のアメリカ合衆国大統領選挙では、ワンダーのこのオリジナル・バージョンがジョー・バイデンのキャンペーンソングとしても使用され、現代における彼のメッセージが再評価される機会となりました。

カバー・バージョン

「ハイアー・グラウンド」は数多くのアーティストによってカバーされています。

• - アイク&ティナ・ターナー: 1974年のアルバム『Sweet Rhode Island Red』に収録。
• - レッド・ホット・チリ・ペッパーズ: 1989年4月にシングルとしてリリースされ、同年のアルバム『母乳』にも収録。
• - ケイト・セベラーノ: 1989年のアルバム『Brave』に含まれています。
• - マイケル・マクドナルド: 2000年のアルバム『The Voice of Michael McDonald』にも収録されております。

このように「ハイアー・グラウンド」は、スティーヴィー・ワンダーの音楽だけでなく、後世の多くのアーティストにも影響を与え続ける、普遍的かつ重要なメッセージを持つ作品です。

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