ハイタカ

ハイタカ（鷂・灰鷹）

ハイタカ（学名: Accipiter nisus）は、タカ目タカ科ハイタカ属に分類される猛禽類であり、ハイタカ属の模式種です。その名の通り、素早く獲物を捕らえる姿が特徴的です。

分布

ハイタカはユーラシア大陸の温帯から亜寒帯にかけて広範囲に分布しています。日本では、主に本州以北に留鳥として生息していますが、一部は冬期に暖かい地域へ移動します。森林地帯だけでなく、都市部の公園などでも見かけることがあります。

形態

ハイタカはオスとメスで大きさと羽色に違いがあります。オスは全長約32cmで、背面は灰色、腹面には栗褐色の横縞模様があります。一方、メスはオスよりも大きく、全長約39cmで、背面は灰褐色、腹面の横縞はより細かくなっています。この性的二形は、猛禽類によく見られる特徴です。

名前

「ハイタカ」という名前は、「疾き鷹（はやきたか）」が転じたものとされています。これは、ハイタカが獲物を捕らえる際の素早さを表しています。かつては「はしたか」とも呼ばれていました。また、古くはハイタカのメスを指して「ハイタカ」と呼び、オスは「コノリ」と呼ばれて区別されていました。コノリの語源は、小鳥に乗りかかる様子を表す「小鳥ニ乗リ懸クル意」であるとされています。

生態

ハイタカは、低地から亜高山帯にかけての森林や都市部に生息します。繁殖期には樹上に小枝を組み合わせたお椀状の巣を作ります。食性は動物食で、主に鳥類や昆虫類を空中で捕獲したり、地上でネズミなどを捕食します。繁殖期以外はほとんど鳴きませんが、警戒時には雌雄ともに甲高い声で早口に鳴きます。

繁殖形態は卵生で、1回に4〜5個の卵を産みます。繁殖期には、つがいで行動することが多く見られます。ハイタカの最大の天敵はオオタカであり、オオタカの侵入を防ぐために、樹木が密生した場所に巣を作ることが多いという研究結果もあります。

人間との関係

ハイタカは、オオタカと共に鷹狩に利用されてきました。その俊敏な動きは、鷹狩においても重宝されたと考えられます。また、ハイタカは文化的な側面にも影響を与えており、アーシュラ・K・ル＝グウィンのファンタジー小説『ゲド戦記』では、主人公のゲドの通り名としてハイタカの名前が使われています。

画像

（ここにハイタカの画像が表示される想定）

脚注

[1] 柴田佳秀 著、樋口広芳 編『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』日本文芸社、2019年5月、144頁。

参考文献

柴田佳秀 著、樋口広芳 編『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』日本文芸社、2019年5月、144頁。ISBN 978-4537216851。

関連項目

オオタカ属
日本の野鳥一覧

外部リンク

2006 IUCN Red List of Threatened Species
BirdLife International
環境省 自然環境局 生物多様性センター
* 生物多様性情報システム: RDB種情報検索

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