ハイデルベルク信仰問答

ハイデルベルク信仰問答

ハイデルベルク信仰問答（ドイツ語：Heidelberger Katechismus）は、1563年にドイツの町ハイデルベルクで成立した、カルヴァン派の信仰を体系的に解説した問答形式の文書です。全129問答から構成され、人間の悲惨、救い、そして感謝という3つの主要なテーマに沿って、キリスト教信仰の核心を分かりやすく解説しています。

歴史的背景

16世紀、宗教改革の波がヨーロッパを席巻する中、プファルツ選帝侯フリードリヒ2世は自身の領地であるハイデルベルクにおいて、アウクスブルク信仰告白を採用し、ルター派の立場を取りました。しかし、その後ハイデルベルクには様々なプロテスタントの学者が集まり、聖餐論を巡ってルター派、メランヒトン主義者、カルヴァン主義者、ツヴィングリ主義者の間で激しい論争が繰り広げられるようになりました。この論争こそが、ハイデルベルク信仰問答が作成される直接的なきっかけとなったのです。

1559年、フリードリヒ3世がプファルツ選帝侯に就任すると、彼は聖餐論争の終結を目指し、フィリップ・メランヒトンに助言を求めました。その結果、公開討論会を経てカルヴァン主義の聖餐論を採用することを決定します。1561年、フリードリヒ3世はルター派の影響が強かったコレギアム・サピエンティアエをカルヴァン派の神学校として再編し、メランヒトンの弟子であるツァハリーアス・ウルジーヌスを責任者に任命。ウルジーヌスは、前任のカスパル・オレヴィアーヌスと共に、信仰問答書と信仰告白の作成に取り組みました。ハイデルベルク信仰問答は、カルヴァンやブリンガーらのカテキズムを参考に、ウルジーヌスが作成したラテン語の草案と、オレヴィアーヌスが作成したドイツ語の草案を基に作成されました。

1562年12月、フリードリヒ3世はハイデルベルクに聖職者会議を招集し、草案の検討と改訂を行わせました。そして、1563年1月19日、ついにドイツ語でハイデルベルク信仰問答が出版されたのです。

内容の構成

ハイデルベルク信仰問答は、以下の3つの部に分かれています。

1. 人間の悲惨：罪と堕落によって、人間がいかに神の恵みから遠ざかっているかを説きます。
2. 人間の救い：イエス・キリストによる贖罪を通して、神が人間に与える救いを解説します。
3. 感謝：救われた人間が、神の恵みにどのように感謝して生きるべきかを教えます。

ハイデルベルク信仰問答は、その明快な構成と平易な言葉遣いによって、多くの人々に親しまれてきました。今日に至るまで、様々な言語に翻訳され、世界中のカルヴァン派教会で用いられています。

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