ハイフンマイナス

ハイフンマイナスについて

ハイフンマイナス（hyphen-minus）は、文字コードにおいて`0x2D`という符号位置を持つ記号「-」です。この記号は、一般的に半角幅の横棒として表示され、主にハイフン、マイナス、ダッシュの代用として使用されてきました。歴史的な経緯から、一つの記号が複数の役割を担うことになった背景を解説します。

ハイフンマイナスの成り立ち

タイプライター時代には、横棒として入力できる記号が限られていたため、ハイフン、マイナス、ダッシュなどの区別なく、この記号が使われていました。コンピュータが普及し始めると、文字コードでこれらの記号を区別する必要が出てきました。しかし、初期の文字コードでは、限られた符号位置で多くの文字を表現する必要があったため、ハイフンとマイナスを別の記号として定義することができませんでした。そこで、ISO/IEC 646|ISO_IEC 646（ASCII）では`0x2D`の符号位置に、ハイフンとマイナスの両方の意味を包含する「ハイフンマイナス」という文字を定義しました。一方、EBCDICでは異なる符号位置`0x60`が用いられることもありました。日本で標準化されたJIS C 6226:1978では、ハイフン、マイナス、ダッシュそれぞれに独自の符号位置が与えられましたが、8ビット文字コードであるISO/IEC 8859|ISO_IEC 8859では、ダッシュやソフトハイフンに別の符号位置が与えられたものの、ハイフンとマイナスは区別されませんでした。その後、ハイフンとマイナスの区別問題が浮上し、歴史的な資産や技術的な問題、業界内の派閥などにより、解決策として両者を包摂した「ハイフンマイナス」という概念が誕生しました。

Unicodeにおけるハイフンマイナス

Unicodeでは、ISO/IEC 646|ISO_IEC 646などとの互換性を維持するため、U+002Dの符号位置にハイフンマイナスを配置しました。JIS X 0208ではハイフンとマイナスは区別されていましたが、JIS X 0213では国際規格との互換性のため、ソフトハイフンとともにハイフンマイナスが導入されました。

プログラミングにおけるハイフンマイナス

多くのプログラミング言語では、文字集合がASCIIに限定されているため、減算や負数を表すのに、Unicodeのマイナス記号`U+2212`ではなく、ハイフンマイナス`U+002D`が用いられます。

ハイフンマイナスと他の記号の違い

ハイフンマイナスは、ハイフン、マイナス、ダッシュなど、複数の記号の役割を担っていますが、それぞれ異なる用途と見た目を持ちます。

ハイフン：単語の連結や分割に用いられる記号です。
マイナス：数式で減算を表す記号です。プラス記号から縦棒をなくしたような形状で、ハイフンマイナスよりも少し長く、高さや厚みが異なります。
エヌダッシュ（–）：範囲を表したり、複合形容詞の連結に使用される、ハイフンよりやや長い記号です。歴史的には小文字のnの幅に相当します。2つのハイフンマイナスを連続して並べてエヌダッシュを表すこともあります。
エムダッシュ（—）：文の区切りや強調に用いられる、エヌダッシュよりさらに長い記号です。歴史的には小文字のmの幅に相当します。2つまたは3つのハイフンマイナスを連続して並べてエムダッシュを表すこともあります。

ハイフンマイナスは、ハイフンとしての用途で使用されることが多いため、多くのフォントではマイナス記号との違いが明確になるように表示されます。しかし、場合によっては、マイナス記号を表すためにハイフンマイナスよりもエヌダッシュが好まれることがあります。これらの記号の幅は、ハイフン、マイナス、エヌダッシュ、エムダッシュの順に長くなります。

まとめ

ハイフンマイナスは、文字コードの歴史の中で、ハイフン、マイナス、ダッシュなど複数の役割を担うことになった記号です。Unicodeの導入によって、これらの記号を区別して使用できるようになったものの、互換性の観点からハイフンマイナスは引き続き使用されています。それぞれの記号が持つ意味と用途を理解し、適切に使い分けることが重要です。

関連項目

ハイフン
プラス記号とマイナス記号
* ダッシュ (記号))

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