プラス記号とマイナス記号

プラス記号 (+) とマイナス記号 (-) の世界

プラス記号 (+) とマイナス記号 (-) は、数学において加法（足し算）と減法（引き算）を表す基本的な記号です。しかし、これらの記号は数学の枠を超え、様々な分野で多様な意味を持って使用されています。

起源と歴史

これらの記号の起源は、必ずしも明確ではありませんが、いくつかの説が存在します。

船乗り説: 樽の水の量を記録する際に、減った量を「-」で示し、補充されたときに「+」で消したという説があります。
商人説: 葡萄酒商人が使用していた記号が起源という説も存在します。
エジプトの象形文字: エジプトでは、加算を足の形で表現し、減算をその左右反転で表現していました。

15世紀初頭のヨーロッパでは、PとMの文字が使用されていましたが、1489年にヨハネス・ヴィトマンの著書『商業用算術書』で初めて印刷物に登場しました。プラス記号「+」はラテン語の「et（～と）」が変化したものであり、マイナス記号「-」は「minus（より少ない）」の頭文字「m」の筆記体に由来するとされています。

1518年には、ヘンリカス・グランマテウスの書籍で、加算と減算の記号として初めて使用されたとされています。

等号の発明者であるロバート・レコードは、1557年に著書でこれらの記号をイギリスに紹介しました。

数学における用法

加減法

「+」と「-」は、数値の加算と減算を表す二項演算子として使用されます。例えば、「3 + 2 = 5」、「3 - 2 = 1」のように計算を行います。

その他の代数的構造

「+」と「-」は、アーベル群などの数学的な構造における演算にも使われます。また、排他的論理和やビットXOR演算にも使用されることがあります。ただし、これらの演算には専用の記号が用意されている場合もあります。論理和、和集合、差集合などの演算にも使用されることがありますが、これらの演算には通常は専用の記号が使用されます。

正負

「-」は、単項演算子として、数の符号を反転させるために使用されます。例えば、「-5」は負の5を表し、「-(-3)」は正の3を表します。一方、「+」は、正の数を強調する際に使用されますが、数の値を変更することはありません。

その他の用法

関数と行列

関数fの逆関数はf⁻¹と表記されます。また、行列Aの一般逆行列はA⁻、ムーア・ペンローズ逆行列はA⁺と表記されます。

派生した記号

「±」や「∓」は、プラスマイナス記号として使用されます。また、「⊕」は直和や排他的論理和に使用され、「¬」は否定、「∖」は差集合、「⊖」は対称差などを表します。

コンピュータでの用法

プログラミング言語では、「++」や「--」をインクリメントやデクリメント演算子として使用します。文字列の連結や、音楽ツールにおけるシャープ（♯）やフラット（♭）の表現にも使用されます。また、罫線素片や、フォルダの開閉状態を示すアイコンとしても使用されます。

その他の用途

試験の評点では、「+」や「-」は評価の段階を表します。
IPAでは、発音における前舌化や後舌化を示す記号として使用されます。
化学記号や素粒子記号では、イオンの電荷を表します。
電話番号では、国際電話番号であることを示します。
検査では、陽性や陰性を表します。

派生した記号

「⧺」「⧻」のように、プラス記号を複数繋げた記号も存在します。

符号位置

プラス[記号]]（+）とマイナス記号（-）は、それぞれ異なる符号位置を持っています。また、ハイフンマイナス記号]は、ハイフンとマイナス[[記号の双方の役割を果たす記号です。

まとめ

プラス記号 (+) とマイナス記号 (-) は、数学の基本でありながら、その用途は多岐に渡ります。これらの記号は、私たちの日常生活や科学技術において、不可欠な存在となっています。

プラス記号とマイナス記号