ハウ (小説)

ハウ

斉藤ひろしによる小説『ハウ』は、2022年2月に朝日新聞出版から文庫化され、同年には実写映画版も公開された作品です。

あらすじ

物語は、32歳の公務員である赤西民夫が、婚約者の真里菜から突然別れを告げられる場面から始まります。失意の中、彼は上司の勧めで、引き取り手のない犬、ハウを飼うことになります。実は動物嫌いだった民夫ですが、ハウとの生活を通して次第に心を開いていきます。ハウは声帯を手術で取り除かれており、「ハウ」としか鳴けません。穏やかな日々を送る二人でしたが、ある日、ハウが迷子になってしまいます。ハウは青森まで運ばれてしまいますが、民夫を求めて横浜を目指し、長い道のりを歩き始めます。

旅の途中、ハウは様々な人々と出会い、短い期間ながらも彼らの心を癒し、幸せをもたらします。一方、ハウを失った民夫は、ハウの存在の大きさに気づき、深く後悔します。ハウとの再会を諦めかけていた頃、民夫は新しい生活を始めようとしていました。そんな時、ハウは民夫の前に姿を現しますが、別の飼い主である少年と一緒でした。少年は交通事故で父親を亡くしており、ハウを父親代わりとして慕っていました。民夫はハウを手放すことを決意し、ハウとの別れを告げます。

登場人物

赤西民夫: 横浜市の区役所職員。動物嫌いだったが、ハウとの出会いをきっかけに変化していく。
ハウ: ラブラドゥードルの雄犬。声帯を失っているが、賢く優しい性格。
真里菜: 民夫の元婚約者。民夫の友人を好きになり、別れを告げる。
鍋島課長: 民夫の上司。民夫にペットを飼うことを勧める。
吉住正一郎: 民夫の高校時代の後輩で、真里菜を紹介した人物。
足立桃子: 区役所の新人職員。民夫と親しくなる。
めぐみ: ハウの声を奪った人物。
健人: 交通事故で父親を亡くした少年。ハウを父親代わりとして慕う。

書誌情報

斉藤ひろし『ハウ』、朝日新聞出版、2022年2月7日発売、ISBN 978-4-02-265030-6

映画

2022年8月19日に公開された実写映画版では、田中圭が主演を務めました。監督は犬童一心。

キャスト

赤西民夫：田中圭
足立桃子：池田エライザ
鍋島史郎：野間口徹
鍋島麗子：渡辺真起子
森下めぐみ：モトーラ世理奈

スタッフ

原作：斉藤ひろし『ハウ』
監督：犬童一心
脚本：斉藤ひろし、犬童一心
音楽：上野耕路
* 主題歌：GReeeeN「味方」

まとめ

『ハウ』は、犬と人との心の交流を描いた感動的な物語であり、読者の心に温かい光を灯してくれる作品です。失恋から立ち直れない主人公と、声を出せない犬という、一見すると不幸な組み合わせが、互いを支え合い、成長していく姿は、多くの人々に勇気と希望を与えてくれます。

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