ハカタスジシマドジョウ

ハカタスジシマドジョウ（はかたすじしまどじょう）

概要

ハカタスジシマドジョウは、福岡県の博多湾に流入する特定の水系にのみ生息する特異なシマドジョウです。この魚は、ナミスジシマドジョウの亜種の一つであり、2009年にその存在が確認され、2012年には正式な種として記載されました。タイプ産地は福岡県糟屋郡の多々良川であり、その生息域は狭く限られた場所に集中しています。

分布

この魚は、博多湾に流入する3つの水系の下流域や一部の中流域で見られますが、特に那珂川水系においては2007年以降、採集例がなく、大規模な河川改修によってこの地域でもう姿を見せていない可能性があります。これにより、本種がすでに絶滅してしまったかもしれないとの懸念が広がっています。

形態

ハカタスジシマドジョウは全長が6〜8cm程度で、特徴的な模様を持ちます。尾鰭の付け根には明瞭な黒点があり、上部の黒点の大きさは眼径とほぼ同じですが、下部分は不明瞭か、三日月状に細くなっています。特に、オスメスの違いがあり、オスの胸鰭には円形の骨質盤があり、胸鰭の形状も独特です。繁殖期には体側の模様が変化し、縦條模様が現れることがあります。

生態

ハカタスジシマドジョウは、流れがゆるやかで岸際に豊かな植生がある砂泥底の環境を好みますが、生活史の詳細はまだ不明な点が多いです。繁殖期は5月から7月頃とされ、この時期にオスは縦条模様を持つように変化します。メスは基本的に点列模様ですが、一部は縦条模様に変化することもあります。卵の直径は約1mmで、孵化後は1週間程度は模様がありませんが、成長するにつれて特有の縞模様が現れます。野外では約2年、飼育下では3年以上生存することが確認されています。

保全状況

福岡市の那珂川水系では、2007年以降採集が行われておらず、さらなる河川改修の影響もあって、もはや絶滅してしまった可能性が高いと言われています。残る2水系でも水質汚濁が深刻で、適切な保全活動が行われなければ本種の生存が難しい状況です。福岡市周辺の他の稀少魚類も絶滅が続いており、ハカタスジシマドジョウも同様の運命をたどる危険性が高いです。そのため、この魚は絶滅危惧ⅠA類として指定され、観賞魚としての乱獲が続くことにより、ますます希少になっています。

関連項目

• - シマドジョウ属
• - ナミスジシマドジョウ
• - チュウガタスジシマドジョウ
• - オンガスジシマドジョウ

本種が直面する危機的状況は、環境の変化や人間の活動により引き起こされており、適切な対策や保全が求められています。

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