ハサン・アル＝バンナー

ハサン・アル＝バンナー

ハサン・アル＝バンナー（1906年10月14日 - 1949年2月12日）は、エジプト出身の教育者であり、ムスリム同胞団を創設した人物として知られています。彼の活動は20世紀のイスラム復興運動において大きな足跡を残しました。

人物背景

バンナーは、エジプトのブハイラ県マホムディヤに生まれました。父親は地元でイマームとして活動し、またマドラサでハンバル派の教育を行っていました。そのため、バンナーは幼少期からイスラム教の伝統に触れる機会が多く、12歳の頃にはスーフィズムの教団に参加します。彼が若い頃から強い政治的意識を持っていたこともあり、1919年の反英独立運動に参加するなど、情熱的な活動を始めていました。

ムスリム同胞団の創設

バンナーがムスリム同胞団を設立したのは1928年のことです。当初は、他の慈善活動団体とほとんど同じ規模の小さな集まりでしたが、彼の情熱と組織力により、急速に成長しました。1932年にはカイロに本部を移し、会員数は50万人を超えるまでに至ります。バンナーの手腕により、ムスリム同胞団はエジプト国内外に大きな影響を与える組織へと成長しました。

特に1940年代におけるバンナーの活動は目覚ましく、特にカフェの中で説教を行うなどして、人々に接触したり、彼の信念を広めたりしました。また、彼は主張を人々に受け入れやすい形で修正していく姿勢も持っており、その結果、多くの支持を得たのです。

社会への影響

バンナーは、エジプトの憲法や草の根の運動を通じて社会に変革を試みました。彼の信念は、過去の価値観を否定するのではなく、むしろ農民や労働者の中にある価値観を引き出すことでした。このアプローチが同胞団の成功をもたらしたと言われています。彼らは診療所や学校を設立し、地域社会への貢献を積極的に行ってきました。

パレスチナ戦争と政治的抗争

1948年、ムスリム同胞団はパレスチナ戦争に義勇兵を送り、エジプト国内での影響力を拡大していきます。しかしその一方で、エジプト王国との対立も激化しました。同胞団の人気が高まるにつれ、クーデター計画の噂も流れるようになります。1948年12月、同胞団は首相から解散を命じられ、資産が押収される事態となります。これに伴い、多くのメンバーが逮捕されることになります。

この混乱の中で、同胞団のメンバーによってヌクラーシー・パシャが暗殺されました。バンナーはこの暗殺を強く非難しましたが、彼自身も翌年に悲劇的な運命を迎えることになります。1949年2月12日、カイロで彼は義弟と共に暗殺されました。彼が暗殺された際は、政府との交渉のために出かけたところでした。この事件は、彼の組織運動への大きな打撃を与えることになりました。

影響と家族

バンナーの死後、彼が築き上げたムスリム同胞団は、エジプト国内外におけるイスラム運動において中心的な役割を果たし続けています。また、彼の末弟は思想家や著作家として知られており、一方で彼の孫であるターリク・ラマダーンはオックスフォード大学のイスラム神学者として著名です。彼の影響力は、今なお続いています。

このように、ハサン・アル＝バンナーは単なる宗教指導者に留まらず、20世紀のイスラム社会に多大な影響を与えた重要な人物なのです。

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