ハサン・ナスルッラーフ

ハサン・ナスルッラーフ

ハサン・ナスルッラーフ（アラビア語：حسن نصر الله、1960年8月31日 - 2024年9月27日）は、レバノンのシーア派イスラーム主義組織、ヒズボラの第3代書記長であり、レバノン南部のシーア派信徒のリーダーとして知られています。彼の名前はアラブ諸国のメディアで「ナスラッラー」と呼ばれることが一般的で、日本でも「ナスララ」などと記載されることがあります。

彼のフルネームには、預言者ムハンマドの子孫を示す敬称「サイイド」が冠されていることが特徴的です。ハサンの名は、英語での表記『Hassan』として使われることが多く、日本においては『ハッサン』というカタカナ表記も見受けられます。彼はレバノン南部のブルジュ・ハンムードで生まれ、家庭では10人兄弟の9番目として育ちました。

彼の人生は、1975年に始まったレバノン内戦によって大きく変わり、家族は父の故郷であるアル＝バーズーリーヤへ疎開しました。その後、地元の公立学校で学びながら、シーア派の世俗的政党「アマル」に参加しました。間もなくして、宗教教育のためにイラクに留学し、シーア派聖地ナジャフでイスラーム教育を受けました。この経験が後のヒズボラ設立に寄与しました。

1979年にレバノンに帰国後、彼はハウザと呼ばれるシーア派の教育機関での学びを続けました。1982年のイスラエルのレバノン侵攻を契機に、アマルの内部で生じた分裂によって誕生したヒズボラに合流しました。彼はさまざまな職務を経て、1992年にヒズボラの書記長に就任しました。

その後、ナスルッラーフはヒズボラを指導し、中東における政治的な発言力を強めていきました。特に2006年には、イスラエルとの紛争の際、彼のスピーチは大きな注目を集め、支持者たちの間での彼の存在を確立しました。彼はサウス・ベイルートで生活をしており、支持者たちにとってはカリスマ的存在となっていました。

2024年9月28日、ナスルッラーフはイスラエルの空爆によって命を落としました。このニュースはすぐにヒズボラから発表され、大きな衝撃が広がりました。彼の死は、レバノンおよび中東全体の政治情勢に深い影響を与えることが予想されます。

ナスルッラーフは、妻と5人の子供を持ち、息子の一人は1997年に軍事活動中に死亡します。彼の存在は、シーア派のアイデンティティやレバノンの政治的状況において強い影響を持ち続け、今後もその影響が語り継がれることでしょう。

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