ハシバミ

ハシバミ：日本の山里に息づく木の実

ハシバミ（学名： Corylus heterophylla var. thunbergii）は、カバノキ科ハシバミ属に属する落葉低木です。日本では北海道から九州まで広く分布し、山地や丘陵の日当たりの良い林縁などで生育しています。樹高は1～5メートルほどで、細く伸びた幹は株立ちになることが多く見られます。和名の由来は、葉のしわが多いことから「ハシワミ」が転訛したものだと考えられています。

生態と特徴

ハシバミは灰褐色の樹皮を持ち、浅い裂け目が入るのが特徴です。若い枝には毛が生えており、葉は互生します。葉身は広卵形から円形で、長さ6～12センチ[[メートル]]、幅5～12センチ[[メートル]]ほど。表面は硬くてザラザラしており、縁には不揃いな重鋸歯があります。葉の先端は鋭く尖り、若い葉の中心部が赤茶色を帯びることもあります。

開花期は早春から春（3～4月頃）で、雌雄同株です。葉の展開に先駆けて開花し、雄花は黄褐色の尾状花序を垂れ下げ、雌花は赤い柱頭が芽鱗から突き出して目立ちます。果実は堅果で、直径約1.5センチ[[メートル]]の球形をしており、葉状の総苞に包まれています。9～10月頃に成熟し、食用可能です。ただし、一般的にヘーゼルナッツとして流通しているのは、本種とは異なるセイヨウハシバミの実です。

冬芽は、雄花序以外の芽は鱗芽で、やや平たい倒卵形をしています。仮頂芽と互生する側芽があり、8～10枚の芽鱗に包まれています。一方、雄花序の冬芽は裸芽で、赤みを帯びた円柱形をしており、枝先に2～6個ほど垂れ下がります。この雄花序の冬芽は、近縁種のツノハシバミと似ていますが、ハシバミの方が数が多い点が区別点となります。

文化と利用

ハシバミの実は食用として利用されてきました。また、庭木としても植えられ親しまれています。古くは占い棒として用いられたり、英国ではハシバミの枝葉で作った冠をかぶると幸運が訪れるという言い伝えもあります。日本の伝統色の一つである「榛色（はしばみいろ）」も、セイヨウハシバミの実の色に由来しています。

近縁種

日本では、ハシバミの他にオオハシバミ、ツノハシバミなどが「ハシバミ」と呼ばれています。ツノハシバミは、果実を包む総苞が筒状に長く伸びていることが大きな特徴です。また、ハシバミはオオハシバミの変種とされており、その果実は「シバグリ」とも呼ばれています。世界的には、セイヨウハシバミ、アメリカハシバミ、そして両種の中間種とされるフィルバートなどが知られています。

まとめ

ハシバミは、その形態や生態、そして文化的な側面において、多様な魅力を持つ植物です。日本の山里に自生するこの木は、人々の生活や文化に深く関わってきた歴史を持ち、これからも私たちの身近な自然の一部として存在し続けるでしょう。 早春に開花する姿や、秋に実る食用可能な実、そして特徴的な葉や冬芽は、自然観察の対象としても魅力的です。 近縁種との違いを理解することで、より深くハシバミの生態を知ることができるでしょう。

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