堅果

堅果とは

堅果（けんか）は、特有の構造を持つ果実の一種で、特に木質の外皮に包まれた1つの種子から構成されます。一般に、堅果は果実が成熟した際に裂開することなく、その形状を維持します。この果実は、ブナ科やカバノキ科に属し、多くの植物に見られます。また、小型の堅果は一般的に「小堅果」と呼ばれ、カヤツリグサ科やタデ科などによく見られますが、これと痩果との明確な区分は存在しません。

植物における堅果の定義

堅果は複数の心皮から成り、成熟時に果皮が乾燥し木質化する特徴を持ちます。この果皮は、果実内部の種子をしっかりと包む一方で、種皮とはくっつかず、裂けることもありません。クリの実に見られる鬼皮と渋皮は、それぞれ果皮と種皮に相当します。さらに、堅果にはブナ科やハシバミ属の他にも、ミズタマソウやヒシ、シナノキ属、ツクバネといった植物にも見られます。

特にブナ科では、殻斗と呼ばれる殻状の構造が堅果を包み込むことで知られています。例えば、クリの実は3つの堅果が鬼皮で覆われ、ブナの実は2つの堅果が殻斗の中で保護されています。また、コナラやシラカシでは、堅果の基部が殻斗に包まれるという特徴が見られます。

核果との違い

クルミ属やペカン属の果実は一般的に堅果とされますが、外見や構造が堅果の定義と合致しない場合があります。これらの果実は、外皮が多肉質であり、果皮は硬化していません。このため、これらの果実は核果に類似していますが、その成分に外皮が含まれることから、堅果の正確な定義には従っていないと言えます。

小堅果や偽堅果の概念

堅果はその大きさにより、小堅果とも呼ばれ、カヤツリグサ科やガマ科、タデ科の植物に見られますが、これらの小堅果は時に痩果と一緒に扱われます。また、堅果と似た構造の果実でも、堅い外皮が雌しべの子房以外の部分から由来するものは偽堅果と呼ばれ、オシロイバナの果実がその一例です。

堅果の散布方法

堅果は裂けることがないため、果実状態で種子が散布されます。特にブナ科やクルミ科の堅果は、リスやネズミ、シジュウカラなどによって収集され、貯蔵されることが多いです。これにより食べ残された堅果が発芽することがあり、この散布方法は貯食散布と呼ばれます。

果実が水に浮く特性がある場合、例えばオニグルミやハスの場合、水流に沿って散布されることも可能です。また、特定の堅果では翼や毛が発達しており、風による散布が促進されます。

最後に

堅果は私たちの生活の中で多くの食用種子の形を取ります。ナッツ類や種実類として知られ、クリやアーモンド、ピスタチオなどがあります。このように堅果は、生態系や植物の生存戦略において重要な役割を果たしています。

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