ハシバミ属

ハシバミ属について

ハシバミ属（Corylus）は、ブナ目カバノキ科に属する被子植物の一種で、世界の北半球の温帯地域に自生する落葉樹や低木から成る10～20種で構成されています。日本では、ハシバミおよびツノハシバミの2種が自生しています。これらの植物は、その特異な特徴と利用法から広く知られています。

生物的特徴

ハシバミの葉は丸い形状をしており、縁には二重鋸葉状の切れ込みがあります。春の早い時期になると、葉が展開する前に花が咲きます。これらの花は雌雄同株で、尾状の花序を形成します。雄花は淡黄色が特徴で、5〜12cmの長さに集まり、その中には多数の花があります。一方で、雌花は非常に小さく、青紫色をした赤い花柱がほんの少し見える状態で、主に蕾の中に隠れています。果実は長さ1〜2.5cm、幅1〜2cmのナッツで、苞葉が変わる形状の殻に覆われています。この殻の形や構造が、種の特定に使われることが多いです。また、多くのチョウ目の幼虫がこの植物の葉を食料としています。

主な種

ハシバミ属にはいくつかの重要な種が存在します。

• - Corylus avellana（セイヨウハシバミ）：果実は世界中で食用とされています。
• - Corylus heterophylla（ハシバミ）：日本に自然分布する種です。
• - Corylus sieboldiana（ツノハシバミ）：日本の土壌に適応した種です。

名称の由来と文化的背景

英名の「hazel」は、ゲルマン系各言語に由来し、新石器時代のインド・ヨーロッパ祖語にまで遡ることができます。この祖語は後にラテン語の「corulus / corylus」へと受け継がれ、ハシバミ属の名称としても使用されました。特にケルト文化においては、ハシバミは神聖な植物とされ、その木が重要な役割を持っていました。古代の法律では伐採が禁じられていたほどです。

豊穣と知恵

ハシバミは、豊穣の女神や知恵と結びつけられており、特に知識の象徴とされています。アイルランドの詩人イェイツは、「ハシバミの実の中に知恵の聖霊が封じ込められている」と記しています。さらに、ドルイドの木文字でハシバミは9番目の文字で、数字の9と特別な関連性があります。

利用法

食用

ハシバミの実、特にセイヨウハシバミの果実はヘーゼルナッツとして親しまれ、多くの料理やお菓子に用いられています。そのクリーミーで豊かな風味は、古代から人々に重宝されてきました。

材木としての利用

セイヨウハシバミの木は、イングランドの生垣に用いられ、また、細くてしなやかな性質から鞭や家具の制作にも利用されます。北アメリカでは、アメリカハシバミが庭木としての役割を果たしています。この植物は、コルクボードやかごなどの製作にも使われています。

魔除けや神話

ハシバミの枝は魔除けとして利用され、特に船長の帽子や馬具に取り付けられることがありました。雷に関連する神との結びつきも強く、落雷を避ける力を持つと信じられています。

健康への影響

ただし、ハシバミの花粉は花粉症を引き起こす原因となることがありますので、注意が必要です。このように、ハシバミ属は多彩な利用法と深い文化的背景が絡み合った植物です。

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