ハジロコチドリ

ハジロコチドリとは

ハジロコチドリ（学名：Charadrius hiaticula）は、鳥類の分類において、チドリ目チドリ科に属する一種です。この鳥の和名には「羽白」という言葉が含まれており、これはその特徴的な白い翼に由来しています。小千鳥という名前からは、コチドリという身近なチドリ類との関連性や、比較的小型の鳥であることがうかがえます。

形態的な特徴

成鳥の全長はおよそ19センチメートルです。日本の沿岸部などでよく観察されるコチドリと比較すると、体長はやや大きい傾向にあります。外見上の特徴として、頭部の白と黒の入り組んだ模様はコチドリと非常によく似ており、識別を難しくさせる一因となっています。しかし、ハジロコチドリを見分けるための明確な特徴がいくつかあります。

まず、体の背面の色は、コチドリよりも濃い砂褐色をしています。この体色も識別ポイントの一つですが、最も決定的な特徴は翼にあります。ハジロコチドリは、翼を広げた際に上面に現れる、はっきりと目立つ白い帯を持っています。この白い帯こそが「羽白」の名の由来であり、飛行中にこの帯が光って見えることで、他のチドリ類、特に白い帯を持たないコチドリと容易に区別することができます。この翼の白い帯は、地上にいる時よりも飛んでいる時の方が顕著に見えます。

分布と渡り

ハジロコチドリは、北半球の広い範囲で繁殖を行います。主な繁殖地は、グリーンランド、スカンジナビア半島、そしてユーラシア大陸の北極圏に広がる地域です。ツンドラ地帯などの開けた環境で繁殖期を過ごします。

繁殖期が終わる秋になると、彼らは越冬のために長距離の渡りに出ます。その越冬地は、西アジアからアフリカの中南部に及びます。これらの地域で冬を過ごし、翌年の春には再び繁殖地へと戻っていきます。

日本への渡来は、定期的に多数飛来するわけではなく、旅鳥として通過する際に立ち寄ったり、冬鳥として飛来したりすることがありますが、その数は稀です。日本の野鳥観察者にとっては、比較的珍しい鳥として認識されています。しかし、過去には日本国内で越冬したという記録も存在しており、一部の個体は短い期間ながら日本を越冬地として利用することもあるようです。

生態

日本国内でハジロコチドリが観察される場合、主に海岸線に近い開けた環境で見られます。具体的には、潮の干満によって姿を現す広大な干潟、波静かな入り江、あるいは海岸からそう遠くない場所にある水田などで採餌している様子が確認されています。これらの場所で、地面を素早く走り回ったり立ち止まったりしながら、小さな無脊椎動物などを探して捕食していると考えられます。

鳴き声は、「プーイッ」というような、柔らかく優しい響きを持つ声で鳴きます。この独特の鳴き声も、他のチドリ類と聞き分ける際の手がかりとなることがあります。

関連項目

* 日本の野鳥一覧

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