ハッサン・アル＝ガッサーニー

ハッサン・イブン＝アル＝ヌマーン・アル＝ガッサーニー（生年不詳-705年）は、アラブの大征服期に活躍した司令官の一人です。カリフ・アブド・アル＝マリクは、かつてウクバフ・イブン＝ナーフィが征服したものの、ベルベル人の反乱や東ローマ帝国の圧力によって放棄された北アフリカの地を再び掌握し、安定させるために、アル＝ガッサーニーに遠征を命じました。

アル＝ガッサーニーはまずカルタゴを攻略することに成功します。しかし、東ローマ帝国が強力な艦隊を派遣し、さらに、戦闘的な女性預言者アル＝カーヒナフに率いられたベルベル部族が圧倒的な勢いで攻撃を仕掛けてきたため、彼は一時的に撤退を余儀なくされました。

翌年、アル＝ガッサーニーは陸からの援軍を得て、艦隊も彼の指揮下に入り、共同作戦を展開します。彼は再びカルタゴを征服し、東ローマ帝国の艦船を多数撃沈、ベルベル人を打ち破りました。この戦いの中で、カーヒナフは命を落とします。彼女の墓は、現在も「カーヒナフの二人種」と呼ばれ、井戸の近くに位置しています。

アル＝ガッサーニーは、マグリブとイフリキヤフに新たな州を設立し、その組織を確立しました。この組織のおかげで、これらの地域はアラブ帝国にしっかりと組み込まれ、数年後のイベリア半島（スペイン）征服の基盤となりました。

しかし、アル＝ガッサーニーがこれらの戦いで蓄積した莫大な富は、彼の上司であるエジプト総督の嫉妬を買うことになります。彼は不当な理由で解任され、財産は没収されてしまいました。彼の後任には、後にイベリア半島を征服するムーサー・イブン＝ヌサユルが任命されました。

アル＝ガッサーニーの北アフリカにおける軍事的、政治的功績は、アラブ帝国の拡大に大きく貢献したと言えるでしょう。彼の築いた基盤が、後のイベリア半島征服へと繋がったことは、歴史的に重要な意味を持っています。

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