巨泉・前武ゲバゲバ90分!

『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』

『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』は、1969年10月7日から1971年3月30日まで放送された日本テレビのバラエティ番組です。この番組は、放送作家出身の大橋巨泉と前田武彦が進行を務め、生放送と事前収録のショートコントが織り交ぜられる形式で構成されていました。特にアメリカのNBCで放送されていた『ラフ・イン』をモデルにした点が特徴的です。

## 番組の特徴

番組は、生放送のパートとショートコントのパートから成り立っており、録画撮影されたナンセンスなコントがアイキャッチを交えて次々と繋がっていくスタイルが新鮮でした。巨泉の「うーしししし」やハナ肇の「アッと驚く為五郎」といった決め台詞は流行語として浸透し、視聴者に強烈な印象を与えました。また、150本とも言われる多彩なショートコントが番組内で展開されたのは、視聴者を魅了し続ける要因となりました。有名な言葉やネタが生まれる背景には、子どもがCM中にテレビに戻ってくることから本編もCMのようにテンポ良く進行すれば良いとの考えがありました。

## 制作のこだわり

制作にあたっては、予算を惜しまず過剰なほどの時間をかけ、NGが出たネタは二度と収録しないという贅沢な態勢で行われました。齋藤太朗によると、通常の番組の台本はB5判ですが、この番組の台本はB4判で3センチの厚さがあったと語っています。数多くのボツネタもあったようで、一回分のボツ原稿が1メートルになるほどでした。

## 収録と演出

収録時は、丸2日を費やし、1日あたり約100本のギャグを収録していました。セットの変更や照明調整、リハーサルを含めると、1本撮るのに約7分かかり、その上で休憩を考慮しなければならないため、11時間半もの長時間が必要とされることがありました。プロデューサーの井原高忠は、その過酷さを「若返らない限り誰も真似しないだろう」と振り返っています。

## 番組の進行

進行は台本に完全に則り、アドリブは禁止されていましたが、出演者の中には微妙なリズム感を持ちあわせていた部分もあります。前田武彦が台本からほんの少しアドリブを加えただけでも怒られると言ったエピソードもあり、台本の重要性が伺えます。ですが、藤村俊二は、その制約が逆に楽しみを生んでいたと振り返りました。

## 特別な Moment 読み取り

放送3回目では、新宿駅前での全学連のデモ行進を取り上げるなど、当時の社会情勢に触れる内容も含まれていました。このような大胆な取り組みも、視聴者に新たな視点を提供しました。

## 替わりに放送された番組

「ゲバゲバ90分!」が放送されないナイターシーズン中には、ギャグの部分だけを抜粋した『巨泉・前武ゲバゲバ30分』や『巨泉・前武ゲバゲバ60分!』が代わりに放送されました。これらの番組でも、巨泉と前武の司会は不在で、ギャグの楽しさが表現されていました。

## 後継番組と特別版

この番組の終了後には、『ゲバゲバ一座のちょんまげ90分!』として再編成され、1982年にはリバイバル企画『ゲバゲバ90分!+30』も制作されました。また、オリジナルの形式から変わった特別版も多く、視聴者の期待に応え続けました。

## 再発見と復活

2003年には、99本の旧式録画テープが発見され、再放送の準備が進められました。これに伴い、2009年4月には特別番組がオンエアされ、続けてDVD-BOXも発売されるなど、当時の人気を再確認させる機会が設けられました。

まとめ

『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』は、そのユニークなスタイルと視聴者への影響力から、日本のバラエティ番組に新たな息吹をもたらした記憶に残る名作です。時代を超えて愛されるこの番組は、日本のバラエティの礎を築いたとも言えるでしょう。

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