ハニア県

ハニア県は、ギリシャ共和国クレタ地方の最西端に位置する行政区です。クレタ島の西部に広がり、県都はハニア市です。この地域は、その地理的な特徴と豊かな自然、歴史的な背景から、多くの人々を魅了しています。

地理

ハニア県は、クレタ島の4つの県の中で最も西に位置し、俗に「西クレタ県」とも呼ばれます。東にはレティムノ県と接しており、北はエーゲ海（クレタ海）、西と南は地中海に面しています。また、県域にはクレタ島最南端のガヴドス島も含まれており、この島はヨーロッパ最南端の島としても知られています。

ハニア県の地形は多様で、手つかずの自然が随所に残っています。県南部には、サマリア峡谷自然公園があり、珍しいクレタ島の野生ヤギであるクリクリが生息しています。この峡谷は、主要な観光地の一つであり、自然愛好家にとっては見逃せない場所です。また、石灰岩で形成されたレフカ・オリ山脈は、標高2,000mを超える山々が連なり、特に冬から春にかけては雪を頂く姿が美しいです。山頂は40箇所以上あり、最高峰はパフネス山で、標高2,453mを誇ります。春には、山に咲く花々を観賞したり、ヒゲワシやイヌワシを探すバードウォッチングも人気があります。クレタ島には独特な生物が生息しているため、生物多様性の観点からも貴重な場所となっています。

クレタ島唯一の淡水湖であるクルナス湖は、ハニアから47kmの距離に位置し、レティムノ県との県境に近いです。湖の周囲は約3.5kmで、古代都市コリオンの名にちなんで「コリシア湖」とも呼ばれています。

主要な都市と集落

ハニア県には、多くの都市や集落が点在しています。人口3000人以上の主要な都市・集落は以下の通りです。

ハニア（Χανιά）：53,373人
ムルニエス（Μουρνιές）：6,426人
スーダ（Σούδα）：6,384人
ネロクロス（Νεροκούρος）：4,105人
キサモス（Κίσσαμος）：3,821人
クヌピディアナ（Κουνουπιδιανά）：3,757人
ダラツォス（Δαράτσος）：3,209人
ペリヴォリア・クドニアス（Περιβόλια Κυδωνίας）：3,055人

県都のハニアは、クレタ島で二番目に大きな都市であり、北東部の港湾都市として栄えています。ムルニエスやスーダは、ハニアの近郊に位置し、ハニア市域に含まれています。ハニア県の人口は、ハニア近郊の平野部に集中しています。また、ハニア市域以外では、北西部のキサモスや南西部のパレオホラも重要な都市です。

行政区画

ハニア県は、複数の市（ディモス）から構成されています。カリクラティス改革以前は、複数の基礎自治体（ディモスおよびキノティタ）から構成されていましたが、改革後、旧自治体は新自治体を構成する行政区（ディモティキ・エノティタ）となっています。2006年以降、郡（エパルヒア）は法的な位置づけを持っていません。

著名な出身者

ハニア県出身の著名な人物として、政治家エレフテリオス・ヴェニゼロス（1864-1936）が挙げられます。彼は、ギリシャの政治史において重要な役割を果たしました。

ハニア県は、その美しい自然と歴史的な背景から、訪れる人々を魅了し続けています。多様な景観、独特な文化、そして温かい人々が、訪れるすべての人々にとって忘れられない経験となるでしょう。

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