ハマナデシコ

ハマナデシコ（浜撫子、学名：Dianthus japonicus）は、ナデシコ科ナデシコ属に分類される多年草で、フジナデシコ（藤撫子）という別名も持っています。園芸分野では、ベニナデシコという名前で切り花や花壇用として栽培されることもあります。その分布域は広く、本州の太平洋沿岸部、一部日本海側西部の沿岸部から沖縄、そして中国にまで見られます。

形態

ハマナデシコの茎は、株状にまとまって生え、下部は木質化し、無毛であることが特徴です。草丈は15cmから50cm程度に成長します。葉は対生で、厚みがあり光沢があるのが特徴です。葉の両面は無毛ですが、縁には毛が生えています。根元から生える葉はロゼット状に広がります。

花期は6月から11月で、茎の頂部に花を密集させて咲かせます。花弁は紅紫色で、長さは6mmから7mmほどの倒三角形をしています。栽培種では、鮮やかな紅色や白色の花が見られ、それぞれ早咲きや遅咲きの品種が存在します。花の大きさは直径1.5cm程度に成長します。

栽培

ハマナデシコは、自生地が砂地であることから、水はけの悪い土壌での栽培は適していません。また、低温に弱い性質を持つため、寒冷地での栽培には注意が必要です。水はけの良い環境を好むため、鉢植えの場合は市販の培養土に砂を混ぜて使うのが良いでしょう。

その他

ハマナデシコは、その美しい花姿から、古くから人々に親しまれてきました。和歌にも詠まれるなど、日本の文化にも深く根付いた植物の一つです。近年では、園芸品種の開発も進み、より多様な花色や花形のものが楽しめるようになっています。比較的育てやすい植物であるため、ガーデニング初心者にもおすすめです。

参考文献

八代嘉昭 「ベニナデシコ」 著、農山漁村文化協会 編『カーネーション（ダイアンサス）』 9巻（初版）、農山漁村文化協会〈花卉園芸第百科〉、2002年、169-170頁。ISBN 4-540-01209-6。
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎 他『日本の野生植物 草本II離弁花』平凡社、1999年。ISBN 4-582-53502-X。

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