ハミ (馬具)

ハミ（馬銜）についての詳細

ハミは馬具の一種で、主に金属製で馬の口に装着する棒状の道具です。騎手が馬を操る際、手綱を通じてハミを介して馬に指示を伝える重要な役割を担っています。この道具は頭絡を構成する部品の一部であり、馬が騎手の意思を理解するための感覚的な手段となっています。

ハミの役割と歴史

馬には前歯と奥歯の間に「歯槽間縁」という無歯部があります。適切に調整された頭絡によって、ハミがこの部分に収まっている場合、馬は口の中でハミを噛むことなく、騎手の指示を敏感に感じ取ります。実際、馬の家畜化にはハミの利用が重要な指標と考えられており、紀元前3500年頃の遺跡からはハミによる痕跡も発見されています。ハミの発明により、騎手はより繊細な操作が可能になり、馬との関係が深化しました。

ハミの起源についてはギリシア神話に記載されており、女神アテーナーが馬を指導したという神話が存在します。これにより、ハミは人間が馬を制御するための重要な発明として位置づけられています。

ハミの種類

ハミの形状や構造によって、馬への作用の強さが異なります。以下はいくつかの主要なハミの種類です：

• - 水勒銜（すいろくはみ）：手綱の動きが直接的に馬に伝わらない穏やかなハミで、主に初心者やさまざまな用途に用いられます。
• - 小勒銜（しょうろくはみ）：水勒銜の小型版で、特に大勒銜と組み合わせて使用されます。
• - 大勒銜（たいろくはみ）：てこの作用を持つハミで、騎手が細かな指示を馬に伝えることができます。
• - ペラム銜（Pelham bit）：ペラム頭絡用のハミで、てこが働くことから大勒に分類されます。
• - 矯正銜（きょうせいはみ）：障害飛越や総合馬術で用いる機能的なハミです。手綱の取り付け部には工夫が施されており、使用目的に応じた多様性があります。

ハミの構造

ハミは主に以下の部品から構成されます：

• - 銜身（はみみ）：馬の口に入る部分で、馬への作用を決定する重要な要素です。一般に、太い銜身は穏やかで、細い銜身は強い作用を持ちます。
• - 銜環（はみかん）：銜身の端に付いている環で、手綱を取り付ける部分です。
• - 銜枝（はみえだ）：大勒銜で、てこの作用を生み出す棒状の部品です。
• - グルメット：大勒銜の上部をつなぐ金属製の鎖です。

ハミの使用と社会における影響

馬が一世を風靡した時代において、ハミは騎手が馬を操るための不可欠な道具とされました。それに加えて、馬の用途に応じたハミの発展があり、農業や輸送の分野でも大きな影響を与えました。日本では、中世から続く「おもぐい」という特殊な馬具が駄馬の制御に用いられており、ハミとは異なる目的の道具として存在しています。

まとめ

ハミの進化と役割は、馬との関係を現代まで深めてきました。さまざまな種類と用途があるハミは、騎手が馬に意志を的確に伝える手段の一つとして、今後も重要な存在であり続けるでしょう。

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