ハヤアキツヒコ・ハヤアキツヒメ

ハヤアキツヒコとハヤアキツヒメは、日本神話における重要な神々です。これらの神々は、『古事記』では速秋津比古神（はやあきつひこのかみ）、速秋津比売神（はやあきつひめのかみ）と記され、『日本書紀』では速秋津日命（はやあきつひのみこと）と表記されます。また、『古事記』では別名として水戸神（みなとのかみ）とも呼ばれています。

概要

『古事記』において、ハヤアキツヒコとハヤアキツヒメは、伊邪那岐命（いざなぎのみこと）と伊邪那美命（いざなみのみこと）の二神から生まれた男女一対の神とされています。これらの神々は水戸神の総称であり、『日本書紀』の一書第六では、「水門の神達を速秋津日命という」と記述されています。特に、『古事記』では、二神の間から以下の四対八柱の神々が生まれたと記されており、これらの神々はいずれも水に関わる神です。

沫那藝神（あはなぎのかみ）・沫那美神（あはなみのかみ）
頬那藝神（つらなぎのかみ）・頬那美神（つらなみのかみ）
天之水分神（あめのみくまりのかみ）・国之水分神（くにのみくまりのかみ）
天之久比奢母智神（あめのくひざもちのかみ）・国之久比奢母智神（くにのくひざもちのかみ）

さらに、葦原中国平定の段では、国譲りを承諾した大国主神（おおくにぬしのかみ）のために造営された宮殿、すなわち出雲大社において、膳夫（かしわで）となった櫛八玉神（くしやたまのかみ）が、水戸神二神の孫にあたるとされています。この櫛八玉神は、出雲市の火守神社の主祭神としても祀られています。

「速」は美称、「秋」は「開」の借字、「津」は「港」と解釈され、ハヤアキツヒコ・ハヤアキツヒメの名義は、「勢いの速く盛んな、河口の男性・女性」と解釈されることが多いです。これらの解釈は、水に関連する神としての性格をよく表しています。

「大祓詞（おおはらえのことば）」では、川上にいる瀬織津比売神（せおりつひめのかみ）によって海に流された罪や穢れを、「荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百会に坐す速開津比売（はやあきつひめ）と云ふ神」が呑み込むとされています。この記述からも、ハヤアキツヒメが水に関わる神としての重要な役割を担っていることが伺えます。


参考文献

『古事記』
『日本書紀』
『大祓詞』


関連項目

神産み
* 日本の神の一覧

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