ハリオシギ

ハリオシギについて

ハリオシギ（針尾鴫）は、学名をGallinago stenuraといい、チドリ目シギ科に属する鳥類の一種です。この鳥は、主にロシアのシベリア地方に生息し、繁殖期には同地域で巣を作りますが、冬季にはインドや東南アジアへ渡って過ごします。日本においては、春と秋の季節に旅鳥として観察されることが多いものの、その数は決して多くありません。実際には、チュウジシギやオオジシギと見た目が非常によく似ているため、他の種と混同され、観察記録から抜け落ちてしまうことも少なくないと言われています。

特に南西諸島では少数が越冬し、九州本土よりも観察の機会が多いとされています。

体の特徴

ハリオシギは全長約25cmで、体型や色味は他のジシギ類に非常に近いものがあります。全体が黒褐色や黄褐色でまだら模様を持ち、特にチュウジシギと類似している点が目立ちます。一般的に、ハリオシギの尾は比較的短く、翼を閉じた際には尾羽の先端が翼の先端よりわずかに突き出ている程度です。尾羽の枚数は通常26枚ですが、22～28枚の個体も確認されています。特筆すべきは、尾羽の外側に位置する6〜8対が針状で細いことで、これが和名の由来になっています。

生態と食性

ハリオシギの生息環境は多様で、繁殖期以外は水田や湿地、草地などに生息します。通常は単独で行動しますが、時には数羽で群れを成すこともあります。繁殖期の生息地は主に草原となり、地面の窪みを利用して営巣します。一般的にハリオシギの卵は4個程度で、抱卵は雌のみが行い、約20日間の期間を要します。

食性に関しては、主に動物食であり、地面の表面を嘴でつついたり、地中に嘴を差し込むことで、ミミズや昆虫を捕食します。このため、湿った土のある場所や草が生い茂った地域が好まれます。

鳴き声

ハリオシギの鳴き声は「ジェッ」や「ジャッ」といった音で聞こえますが、非常に類似した声を持つタシギと区別することが難しいという特性があります。

参考文献

• - 叶内拓哉『山渓ハンディ図鑑7　日本の野鳥』、山と渓谷社、1998年
• - 真木広造他『日本の野鳥590』、平凡社、2000年
• - 桐原政志『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年

関連項目

• - 日本の野鳥一覧

日本の野鳥の中でも独特な役割を果たしているハリオシギ。知識を持つことで、その生態や特性をより深く理解する手助けになります。

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