ハリー・キム

ハリー・キム（Harry Kim）は、人気SFシリーズ『スタートレック：ヴォイジャー』に登場する主要人物の一人です。ギャレット・ウォンが演じ、日本語版の吹き替えは真殿光昭が担当しました。

彼は2349年に地球のサウスカロライナ州で生まれ、東洋系の地球人です。宇宙艦隊士官学校を2371年に卒業後、初任務としてU.S.S.ヴォイジャーに配属されました。その最初の任務は、バッドランドと呼ばれる危険宙域で活動するマキ、そしてそこに潜入しているトゥヴォック少佐（当時）の行方を捜索することでした。

ヴォイジャー艦上では、彼はブルッジ士官としてオペレーション管理（OPS）を担当しました。ヴォイジャーが未知の存在「管理<ケアテイカー>者」によって銀河系の反対側、デルタ宇宙域に突如飛ばされてしまった後、彼は元マキであり「問題児」と見なされていたトム・パリス中尉と親交を深め、固い友情で結ばれます。

キム少尉の性格は、非常に真面目で物静か、そして正直です。時に世間知らずなお坊ちゃんのような一面も見られますが、友情には厚く、一度「刑務所コロニー」に入れられたパリスが負傷した際には、最後まで彼を庇う実直さを見せました。与えられた任務に対しては常に期待以上の成果を出すなど、その才能は認められていましたが、シリーズ初期においては新米士官としての頼りない部分も多く描かれていました。ジェインウェイ艦長からは、将来の艦長候補として期待されており、特に厳しく指導されていました。ヴォヤジャーでの長い旅を通じて、彼は自信をつけ、次第に自ら積極的に発言することも増えていきます。

デルタ宇宙域での航海中、彼はヴォイジャーの天体測定ラボを開発するなど、その技術力が光りました。ホログラムに関する知識も豊富で、パリスから緊急医療ホログラム（EMH）の予備プログラム開発を依頼されたこともあります。

恋愛面では、ホロキャラクターの女性や、自身の種族内で恋愛が禁じられている異星人女性、ボーグ集合体から切り離されたセブン・オブ・ナインなど、個性的な女性に惹かれる傾向があり、パリスからしばしばからかわれていました。趣味はクラリネットの演奏で、シリーズ後期ではサキソフォーンにも挑戦している様子が描かれています。地球との通信が一時的に回復した際、母親が「昇進できるようにママが艦長にお願いしてあげる」と発言する場面があり、マザコン気味な部分も垣間見えました。

正規の昇進はデルタ宇宙域では困難でしたが、可能性の未来を描いたエピソードでは、彼がU.S.S.ロードアイランドの艦長に昇進している姿が示されました。また、非正史にあたる「Star Trek: Destiny」シリーズでは、後に大尉となり、別のU.S.S.ヴォイジャーで第二副長兼保安部長を務めた可能性も描かれています。近年制作された『スタートレック：ピカード』シーズン3では、当初、自爆から逃れたロー中佐や本物のトゥヴォック大佐を救助するU.S.S.ヴォイジャーB艦長としての出演や、ジェインウェイ提督と共にセブンを昇進させる場面への登場が予定されていましたが、制作上の都合により実現しませんでした。

もう一度検索