バリー・スミス

バリー・スミスは、存在論と健康情報学を専門とする世界的に著名な研究者です。1952年生まれ。オックスフォード大学で数学と哲学を修めた後、1976年にマンチェスター大学でフッサールとフレーゲの指示の存在論に関する博士号を取得しました。

その後、シェフィールド大学、マンチェスター大学、リヒテンシュタイン国際哲学アカデミーなどで教鞭をとり、1994年にニューヨーク州立大学バッファロー校に着任。哲学ではジュリアン・パーク特別教授として、また健康情報学、計算機科学、神経科学でも非常勤教授として活躍しています。さらに、ニューヨーク州立健康情報学・生命科学中核的研究拠点の研究員も務めています。

2002年から2006年までは、ドイツのライプツィヒ（後にザールブリュッケンに移転）にあるフォーマルオントロジー・医療情報科学研究所（IFOMIS）の創立者兼ディレクターを務めました。

彼の研究活動は多岐に渡ります。存在論、特に健康情報学への応用を専門とし、500を超える学術論文を発表、15冊以上の編著書を出版しています。学術誌『The Monist』の編集委員（1992-2016）も務めました。

スミス教授は、Basic Formal Ontology（BFO）プロジェクトのリーダー、OBOファウンドリーのコーディネーティング・エディター、遺伝子オントロジーコンソーシアムの学術アドヴィザリー・ボードメンバー、生命医科学研究のためのオントロジー（OBI）ワーキンググループのメンバーなど、数々の重要な役割を担ってきました。感染性疾患、タンパク質、情報人工物など、生命医科学分野における様々なオントロジーリソースの研究にも大きく貢献しています。

その研究領域は学術的な枠を超え、軍事や環境問題にも及びます。アメリカ陸軍の支援を受けたプロジェクトで、ユニバーサル・コア・セマンティック・レイヤーの構築に携わったほか、アメリカ陸軍インテリジェンス・情報戦争総局（I2WD）の支援によるクラウドを用いたインテリジェンス・データの意味論的向上フレームワークの構築プロジェクトにも参加。アメリカ空軍研究所の計画、ミッション保証、ライフサイクル管理についてのイニシアティブにも協力し、ジョイント・ドクトリンオントロジーの構築プロジェクトにも参加しています。

さらに、ペルーのリマにある自由・民主主義研究所のエルナンド・デ・ソトと協同し、土地所有権と社会発展のオントロジーを研究し、国際連合環境計画と協働して環境データの統合におけるオントロジーの役割を研究するなど、国際機関との協働も積極的に行っています。

資金援助は、アメリカ国立衛生研究所、スイスとオーストリアの国立科学研究基金、フンボルト基金、フォルクスワーゲン基金、欧州連合、アメリカ防衛省など、多様な機関から1200ドル以上を受けています。

2005年には国立オントロジー研究センター（NCOR）を設立し、2006年にはインテリジェンス・コミュニティーのためのオントロジーを創設、現在もSTIDS会議を毎年開催しています。国際生命情報オントロジー会議の創始者でもあります。

学術活動に加え、1992年には『The Times』紙に公開意見書を共同執筆し、ケンブリッジ大学がジャック・デリダに名誉学位を与えたことに反対するなど、幅広い活動を行っています。

彼の著作には、『Structure and Gestalt』、『Parts and Moments』、『Handbook of Metaphysics and Ontology』など多くの単著、編著書があり、また数多くの学術論文を発表しています。これらの業績から、バリー・スミスは、存在論と健康情報学における第一人者として、世界的に高い評価を得ています。

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