ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2

概要

『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』（Harry Potter and the Deathly Hallows – Part 2）は、デヴィッド・イェーツ監督、スティーヴ・クローヴス脚本による2011年のファンタジー映画です。J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッターと死の秘宝』を原作とする二部作の後編であり、ハリー・ポッター映画シリーズの最終作です。前作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』から続く、ハリー・ポッターと宿敵ヴォルデモート卿との最終決戦が描かれています。

あらすじ

マルフォイの館から脱出したハリーは、分霊箱がグリンゴッツ魔法銀行にあると疑い、ロン、ハーマイオニーと共に侵入を試みます。ゴブリンのグリップフックに協力を得る代わりに、グリフィンドールの剣を要求され、ベラトリックスの金庫からヘルガ・ハッフルパフのカップを発見します。しかし、グリップフックは裏切り、3人はドラゴンに乗って脱出。ハリーは、ロウェナ・レイブンクローの分霊箱がホグワーツにあることに気づき、ホグズミードでアバーフォース・ダンブルドアの助けを得て、ホグワーツへ向かいます。

ホグワーツではスネイプがハリーの帰還を知り、生徒たちを脅しますが、ハリー達が現れます。スネイプはマクゴナガルと決闘し逃走。ヴォルデモート軍の侵攻を悟ったマクゴナガルは、ホグワーツの防衛を指揮します。ルーナの助言で、ハリーはヘレナ・レイブンクローの幽霊から、母親の髪飾りが分霊箱であることを知らされます。必要の部屋で、ロンとハーマイオニーはバジリスクの牙でカップを破壊、合流後に髪飾りも破壊します。

ヴォルデモート軍との激戦の中、ハリーはヴォルデモートの蛇、ナギニが最後の分霊箱だと気づきます。舟小屋でヴォルデモートはスネイプを殺害しますが、瀕死のスネイプからハリーは自身の記憶を託され、スネイプがリリーを愛し、ハリーを守ってきたこと、そしてハリーが分霊箱であったことを知ります。ハリーは、両親の霊に励まされ、ヴォルデモートと対峙することを決意します。

ヴォルデモートはハリーを殺害しますが、キングス・クロス駅のような場所で、ハリーはダンブルドアの霊から、魂が破壊されたことを知ります。ハリーは再び戦うことを選び、ナルシッサ・マルフォイの嘘でハリーが死んだと思い込んだヴォルデモートは、ホグワーツの降伏を迫りますが、ネビルが抵抗し、ハリーは復活します。マルフォイ一家は戦意を失い逃亡、ヴォルデモートとの最終決戦が始まります。モリー・ウィーズリーがベラトリックスを倒し、ネビルがナギニを破壊。ハリーはエクスペリアームスでヴォルデモートの死の呪いを跳ね返し、ヴォルデモートは消滅します。

戦いの後、ハリーはニワトコの杖の真の所有者であり、その力を拒否し、杖を折ります。19年後、ハリーとその仲間たちは、キングス・クロス駅でホグワーツに向かう子供たちを見送る場面で物語は終わります。

制作

撮影

『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』は、2009年2月19日から2010年6月12日にかけて、『PART1』と並行して撮影されました。エピローグシーンの再撮影は2010年12月21日に行われました。監督のイェーツは本作を「オペラ的で、カラフル、ファンタジー志向」と表現しました。

美術セット

プロダクションデザイナーのスチュアート・クレイグは、グリンゴッツ魔法銀行のセットについて、「大理石と大きな円柱で構成し、壮麗さと重厚さを強調した」と語っています。また、金庫室の宝物は数千個も製作し、特殊効果で膨らませました。ホグワーツの戦いの場面では、破壊された壁や建物の残骸が印象的に描かれ、美術チームの努力が垣間見えます。キングス・クロスのシーンでは、さまざまな白い素材を使用し、数多くのテストを重ねて、独特な雰囲気を作り出しました。

視覚効果

視覚効果監修のティム・バークは、ホグワーツの戦いを演出するために、デジタルでホグワーツを再構築しました。2年間かけて、建物のテクスチャリングや破壊されたホグワーツを構築し、柔軟な撮影を可能にしました。3D化については、200以上のショットに視覚効果を使用し、高い評価を得ました。プロデューサーのデヴィッド・ハイマンは、3D変換をストーリーテリングの手法として使用したと述べています。本作の視覚効果はアカデミー賞にノミネートされ、英国アカデミー賞を受賞しました。

音楽

当初、ジョン・ウィリアムズが作曲する予定でしたが、スケジュールが合わず、アレクサンドル・デスプラが前作に続き担当しました。デスプラは、ウィリアムズのテーマ曲を「PART1」よりも多く使用し、シリーズの集大成にふさわしい壮大な音楽を作り上げました。本作のサウンドトラックはグラミー賞にノミネートされました。

公開

劇場公開

2011年7月7日にロンドンでワールドプレミアが開催され、アメリカでは7月15日に公開されました。2Dで撮影されたものの、ポストプロダクションで3D化され、RealD 3DとIMAX 3Dでも公開されました。

映像ソフト

本作は、DVD、Blu-ray、Ultra HD Blu-rayなど、様々な形式で発売されています。予約販売の記録を更新し、発売後も高い売り上げを記録しました。

評価

興行収入

本作は全世界で13億4200万ドルの興行収入を記録し、シリーズ最高、2011年最高興行収入作品となりました。アメリカとカナダでも3億8140万ドルの興行収入を記録し、数々の記録を打ち立てました。

批評家の反応

本作は、Rotten Tomatoesで96%、Metacriticで85点を獲得するなど、批評家から高い評価を得ています。「スリリングで、力強く、視覚的にも素晴らしい」と評され、多くの批評家がシリーズの最終章に相応しい作品であると絶賛しました。しかし、一部の批評家からは、上映時間が長いことや、原作を2部構成にしたことへの批判もありました。

受賞歴

本作は、アカデミー賞で3部門にノミネートされたほか、英国アカデミー賞視覚効果賞、サターン賞ファンタジー映画賞など、多くの賞を受賞しました。

テレビ放送

地上波テレビでも数回放送され、高い視聴率を記録しました。

将来

『ハリー・ポッターと呪いの子』

舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』の映画化が計画されているという憶測が出ていますが、主要キャストが復帰するかは不透明です。

その他

キャスト

本作では、アバーフォース・ダンブルドア役をキアラン・ハインズが演じるなど、一部の役柄が変更・交代されました。最終決戦の場面には、シリーズに過去に出演した俳優たちが多数出演しました。

ネットへの流出問題

公開前に、映画の一場面がネットに流出し、問題となりました。

日本におけるキャッチコピー

「これが、最後。」

外部リンク

J.K.ローリング公式サイト
英国政府観光庁 - ハリー・ポッター映画ロケ地
クエスト秘宝を探せ（公式サイト）
Harry Potter Wiki - ワーナー社認定Wiki
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 - allcinema
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 - KINENOTE
Harry Potter and the Deathly Hallows: Part II - オールムービー（英語）
Harry Potter and the Deathly Hallows: Part II - IMDb（英語）

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