ハロルド・マクミラン

モーリス・ハロルド・マクミラン

はじめに

モーリス・ハロルド・マクミラン（1894年 - 1986年）は、イギリスの政治家であり、1957年から1963年まで第65代首相を務めました。彼は貴族としての地位を持ちつつも、様々な政治的役職を歴任し、特に外交政策において重要な貢献をしました。本稿では、彼の経歴や外交、内政について詳述します。

初期の人生と経歴のスタート

彼は1894年2月10日、ロンドンのチェルシーにて、マクミラン家の三男として誕生しました。家族は長い歴史を持つマクミラン出版社を経営しており、マクミラン自身も優れた教育を受けました。イートン・カレッジとオックスフォード大学で学んだ後、第一次世界大戦に従軍し、重傷を負いました。この経験が彼の人生に多大な影響を与えることになります。戦後、彼は1924年に庶民院議員として政界入りしました。

政治のキャリア

彼の政治キャリアは、特に1930年代のチャーチル内閣での閣僚としての活躍により著名です。住宅・地方自治大臣を務めたことで名声を得た後、1954年には国防担当閣外大臣に就任。彼の政治的立場は、冷戦の緊迫した時代における国防と外交において重要となります。特に、イスラエルとアラブ諸国の関係が悪化した時期に、外務大臣としての役割を果たしました。

首相就任と外交政策

1957年、彼はイーデン首相の辞任を受けて首相に就任します。彼の首相在任期間中は、イギリスが国内外で直面する様々な課題に取り組みました。彼は、帝国主義からの脱却を進め、「小英国」としてのアイデンティティを模索しました。特に、ヨーロッパ経済共同体（EEC）への加盟を試みましたが、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領に拒否されました。最終的に、彼は1960年に欧州自由貿易連合（EFTA）の設立を果たしました。

アメリカとの関係の深化

彼の外交政策のもう一つの大きな側面は、アメリカとの関係改善です。マクミランはアイゼンハワー大統領と親しい関係を築き、さらには若いケネディ大統領とも強固な信頼関係を持ちました。1960年のアフリカ訪問中には、「いまや変革の風がこの大陸を吹きぬけている」との演説を行い、アフリカの植民地独立を支持しました。また、彼は南アフリカのアパルトヘイト政策にも厳しく反対しました。

内政と課題

国内では、マクミラン政権は経済政策にも力を入れましたが、インフレーションや失業の上昇が止まらず、国内経済は厳しい状況に直面しました。彼は1962年に「長いナイフの夜」と呼ばれる大規模な内閣改造を行い、不人気の克服を図るものの、逆にスキャンダルが相次ぎ、1963年には総辞職に追い込まれます。

家族と晩年

マクミランは1920年にドロシー・エブリン・キャベンディッシュと結婚し、4人の子女をもうけました。1984年には貴族としての地位を授与され、1986年に亡くなりました。彼の死後も、彼が築いた影響力は今なお語り継がれています。

結論

モーリス・ハロルド・マクミランの政治的業績は、イギリスの戦後の政治に深く刻まれており、彼の外交政策や内政への取り組みは、新たな時代への道を開くものでした。

もう一度検索