ハワード・ディヴォート

ハワード・ディヴォート

ハワード・ディヴォート（Howard Devoto）は、1952年3月15日に英国リンカンシャーのスカンソープで生を受けた、影響力のある歌手でありシンガーソングライターです。本名をハワード・アンドリュー・トラフォードといい、少年時代をヌニートンやリーズで過ごしました。

初期キャリア：パンクへの参入

音楽活動を開始するにあたり、当時のムーブメントであったセックス・ピストルズから強いインスピレーションを受けました。そして1976年、パンク・ロック・シーンの勃興期において、ピート・シェリーと共にバズコックスを結成します。彼はバンドのボーカリストとしてデビューを果たし、その後の英国音楽シーンに大きな足跡を残すバンドの初期を支えました。しかし、バズコックスでの活動は短命に終わり、バンドが本格的な成功を収める前の翌1977年2月には、新たな音楽的方向性を求めて脱退を選びます。

マガジンの結成と活動

バズコックスを離れた同年、ディヴォートはポストパンク／ニュー・ウェイヴを代表するバンド、マガジンを結成します。このバンドにおいて、彼はパンクの持つエネルギーと、より実験的で洗練された音楽性を融合させ、評論家からも高い評価を得ました。マガジンは数枚のアルバムをリリースし、彼のソングライターとしての才能と独特のボーカルスタイルを確立しましたが、その後バンドは解散に至ります。

ソロ活動と多様なプロジェクト

マガジン解散後、ディヴォートはソロアーティストとしての道を歩み始めます。1983年には、初のソロアルバム『Jerky Versions of the Dream』をリリース。この作品は全英アルバムチャートで57位を記録し、彼のソロキャリアの幕開けとなりました。ソロ活動と並行して、様々な音楽プロジェクトにも関わります。1988年には、リヴァプール出身のミュージシャン、ノコと協力し、ラグジェリアというユニットを結成しますが、この活動は短期間で終了し、1990年には解散しています。

音楽シーンからの離脱と一時的な復帰

1990年代の大半は、音楽業界の第一線から距離を置き、写真エージェンシーでの仕事に就いていました。しかし、この間にも完全に音楽との関わりを断ったわけではありません。例えば、イギリスのロックバンドであるマンサンに対して歌詞を提供したり、一部ボーカルで参加するなど、散発的に音楽制作に携わりました。興味深いことに、後にマンサンは、ディヴォートがマガジン時代に手掛けた代表曲の一つ「Shot by Both Sides」をカバーし、自身のアルバムに収録しています。

再び音楽の表舞台へ

新しい千年紀に入り、ディヴォートは再び積極的に音楽活動を行うようになります。2001年には、バズコックスの元盟友であるピート・シェリーと再会し、シェリーディヴォートというユニットを結成。翌2002年3月には、二人のコラボレーションの成果として、唯一のアルバム『Buzzkunst』を発表しました。そして2009年、長年のファンが待ち望んでいたマガジンの再結成が実現し、再びライブ活動を行うなど、その健在ぶりを示しました。

ソロ作品リスト

彼のソロ名義での主要な作品は以下の通りです。

アルバム
Jerky Versions of the Dream （1983年）- 全英アルバムチャート57位

シングル
"Rainy Season" （1983年）
* "Cold Imagination" （1983年）

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