ハワール諸島

ハワール諸島の概要

ハワール諸島は、ペルシャ湾内のバーレーン湾に位置する30以上の島々からなる群島です。バーレーン本土からは南東約25kmの距離にあり、総面積は約52平方キロメートルで、バーレーンの国土の7％以上を占めています。その中で、主島のハワール島は40平方キロメートルで、バーレーン島に次いで2番目に大きな島です。島々は主に海洋堆積物からできた石灰岩で構成され、最大海抜28mの平坦な島に特徴的な断崖が見られます。

自然環境

ハワール諸島には独自の生態系が広がっており、特に干潟は多様な生物の生息地となっています。甲殻類や軟体動物が生息し、渡り鳥にとっては重要な餌場でもあります。ウスズミハヤブサやミサゴなどの稀少な渡り鳥が繁殖する場所であり、世界的に重要なペルシャウの営巣地ともなっています。さらに、オオフラミンゴやユリカモメなども観察されます。島にはトビネズミやフトスナネズミ、エジプトトゲオアガマが生息しているほか、アラビアオリックスやヌビアアイベックスといった外来種も見られます。

周辺海域は豊富な海藻を支えており、重要な漁業資源となっています。キングフィッシュやハタ、シルバービディーなどの魚群が生息しており、ジュゴンやアオウミガメなどの保護が求められる海洋生物も存在します。

歴史的背景

ハワール諸島には、後期石器時代以降、何千年にもわたって人々が住んできた痕跡があります。本島には古い貯水池や水路が多数残り、住民は雨水を集めて生活していました。ハワールという名前は、石膏に由来している可能性があり、1082年のアミール・アル＝ハフィーズの著作に初めて登場します。

1783年、ベドウィン部族ダワシールがバーレーンの首長に定住を許可され、以後は漁業や真珠採集などで生計を立てていました。1820年にはイギリス東インド会社が初めて島々を調査し、漁村の存在を確認しました。しかし1960年代には電動漁船の普及に伴い、住民は離れ、1971年には完全に無人化しました。

現在の状況

1997年に、ハワール諸島はバーレーンの国有地となり、アクセスは厳しく制限されています。そのため、自然が手つかずのまま残され、リゾートホテルが設けられています。観光客向けにはバードウォッチングやバスツアーが行われていますが、環境保護のため釣りやジェットスキーは禁止されています。

領土問題

ハワール諸島は、1930年代からバーレーンとカタールの間で領有権を巡る対立があり、武力衝突にも発展しました。1954年、イギリスの調停によってバーレーンが実効支配を確立しましたが、1975年にカタールが協定の無効を主張したことで再び争いが生じました。2001年には国際司法裁判所がバーレーンの主権を認める判決を下し、領土問題に終止符が打たれました。

このように、ハワール諸島は美しい自然と豊かな歴史が織りなす魅力的な場所です。

もう一度検索