石膏

石膏について

概要

石膏（せっこう）は、主成分に硫酸カルシウム（CaSO4）を持つ鉱物です。石膏には様々な形態があり、一般的には水和物として知られる二水石膏（CaSO4・2H2O）が最も広く用いられます。また、半水石膏（バサニ石）や無水石膏（硬石膏）の形でも存在し、それぞれ異なる物理的特性を有しています。

半水石膏（バサニ石）

半水石膏は硫酸カルシウム・1/2水和物（CaSO4・1/2H2O）を指し、焼石膏とも言われます。これは、土壌や溶岩内で見られる鉱物で、水と化学的に反応することで二水石膏に変化します。この特性を利用して、骨折治療用のギプスや型取り用の石膏として用いられます。日本薬局方では「焼石膏」と記載されています。

二水石膏（石膏）

二水石膏（CaSO4・2H2O）は無[[色]]の結晶で、比重は約2.23、硬度は1.5から2の範囲にあります。水には難溶ですが、露出した地域では雨水の影響で溶解が進行し、石膏カルストという特有の地形を形成します。また、透明石膏（セレナイト）、繊維石膏（satinspar）、雪花石膏（アラバスター）など、さまざまな形態で自然界に存在し、特にアラバスターは彫刻素材として人気があります。

無水石膏（硬石膏）

無水石膏は無水硫酸カルシウム（CaSO4）のことで、結晶系の異なる三種類に分類されます。I型（高温型）は立方晶で、II型（不溶性）は斜方晶、III型（可溶性）は六方晶で、用途や生成条件が異なります。

石膏の用途

建設業

石膏は建築材料として重要な役割を果たしています。石膏ボードはその一例で、防火性や遮音性に優れており、約21％の結晶水を含むため防火効果が高いです。しかし、廃石膏ボードの処理に関する環境問題も懸念されています。ラスボードという孔あきボードも、施工性の向上のために使用され、優れた耐火性と遮音性を保持しています。

医療

医療分野でも石膏は幅広く利用されており、特にギプスとしての役割が有名です。半水石膏は水と反応すると二水石膏に変わるため、そのプロセスがギプスの硬化に役立ちます。また、日本薬局方には石膏として記載されており、解熱作用や止渇作用があるとされています。

食品加工

さらに、石膏は豆腐の凝固剤としても使用されています。中国南部や台湾では「豆腐花」と呼ばれ、日本でも絹ごし豆腐に利用されます。石膏の溶解性が、豆乳全体を均一に凝固させるのに適しています。

環境への配慮

最近では、石膏の廃棄物処理が環境問題として取り上げられており、リサイクルや代替処理方法の研究が進められています。石膏の特徴を生かしながら環境へ配慮した取り組みが求められています。

まとめ

このように、石膏はその多様性から建設、医療、食品加工など多くの分野で役立っています。またその用途に応じて形態を変え、環境への配慮が求められる中でも重要な資源であると言えます。

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