ハンギョレ

ハンギョレ新聞の概要

ハンギョレ新聞は韓国の日刊新聞で、1988年に創刊されました。この新聞の設立は特異で、一般市民からの出資によって成り立っています。この手法は「国民株方式」と呼ばれ、ハンギョレの特異性を強調しています。創刊当初から、権力や資本からの独立を重視し、主に民主主義や人権をテーマにした記事を掲載しています。

設立の背景

ハンギョレの創刊は、1987年の民主化宣言後に始まりました。創刊準備委員会が結成され、様々な経緯を経た後、1988年5月に初めての号が発行されました。初期の題字は「ハンギョレ新聞」でしたが、1996年からは「ハンギョレ」として簡潔に呼ばれるようになりました。

記事スタイルと信念

ハンギョレ新聞は漢字を全く使用せず、すべてハングルで配置されています。この姿勢は、その設立時からのものであり、後の10年内に多くの他社も同じようなスタイルを採用するようになりました。発刊当初から電算写植が導入されたことも特筆すべき点で、韓国内の日刊紙では初の試みでした。

また、発刊当初より、ハンギョレは積極的に民主化運動を支援してきました。特に、軍政時代に政府から圧力を受ける中で、労働者や市民の権利を擁護する立場を崩さずに報道を行ってきたのです。これは、富川警察署における性拷問事件等を契機に、より一層の反体制的な姿勢を強めることにつながりました。

政府との関係

創刊直後、ハンギョレは韓国政府から監視を受ける状態にあり、一時は本社が家宅捜索されるなどの困難を経験しました。特に、2000年には退役軍人たちによる襲撃に遭い、当紙の立場が強化される一方で、世間から注目される存在となりました。一方、民主化以降の政権、特に金大中や盧武鉉など進歩派の政府には一定の支持も見せていましたが、その一方で、2006年頃には政権への批判も行っています。

思想的背景と論調

ハンギョレ新聞の論調は反共イデオロギーから脱却し、進歩的な視点での報道を行うことが基本です。特に、人権、環境問題、労働問題、福祉などに関する記事が目立ちます。1999年にはベトナム戦争における韓国軍による問題を取り上げて、国民の反発を受けましたが、事実に基づく報道を貫いています。これにより、京郷新聞やオーマイニュースなど他の進歩的メディアとの関係も一部重なりを見せています。

近年の動向

文在寅政権下では、ハンギョレはこの政権を支持する姿勢を持ち続けました。特に文在寅自身がハンギョレでの活動歴があり、その関係性が報道にも影響を及ぼしたと言えます。革新政権との連携や企画も行われており、一部では政府に対する批判的な声も見受けられましたが、全体的には改革・進展を促す立場が貫かれてきました。

結論

ハンギョレ新聞は韓国の報道機関として特異な位置を占めており、民主主義や人権を重視した執筆姿勢が際立っています。国民によって支えられながら、独自の視点で様々な社会問題に取り組むハンギョレは、今後も韓国社会における重要なメディアの一つであり続けることでしょう。

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