ハンブルトニアン (競走馬)

ハンブルトニアン：18世紀末を代表するイギリスの最強馬

1792年から1818年にかけて活躍したハンブルトニアンは、イギリスが生んだ稀代の競走馬として知られています。その名はノース・ヨークシャー州の地名に由来しており、後にアメリカ合衆国で同名の競走馬が活躍する際に、この名馬へのオマージュとして名付けられたという逸話も残っています。

強烈な血統と輝かしい戦績

ハンブルトニアンの血統はまさに超一流でした。かの名馬エクリプスを曾祖父に持ち、母系は後に名門の一族と称される血統に属していました。さらに、母の父は名種牡馬ハイフライヤー、母の母の父もマッチェムと、錚々たる名馬たちがその血統に名を連ねています。

その実力は、類まれな戦績によって裏付けられています。17戦16勝（あるいは19戦18勝とも伝えられています）という驚異的な勝率を誇り、その唯一の敗戦は、コースを飛び越えるというアクシデントによる失格のみでした。セントレジャーステークスやドンカスターカップといった当時最高のレースを次々と制覇し、18世紀末の最強馬としての地位を確固たるものにしました。

特に注目すべきは、1799年に行われたダイアモンドとのマッチレースです。巨額の3000ギニーが賭けられたこのレースでも、ハンブルトニアンは圧勝、その圧倒的な強さを証明しました。また、同父で1世代上のセントレジャーステークス優勝馬ベニングブローとの対戦でも、いずれも完勝しています。

種牡馬としての評価と子孫

種牡馬としては、必ずしも成功したとは言えませんでした。しかし、その血統は、下級戦で6勝を挙げたホワイトロックという産駒を通じて、驚くべき形で受け継がれていきます。ホワイトロックは、のちに名種牡馬となるセントサイモンを輩出。結果的に、ハンブルトニアンの血統は競馬史に大きな足跡を残すことになったのです。

年度別競走成績

ハンブルトニアンの競走成績は、その圧倒的な強さを物語っています。

1794年: 1戦1勝
1795年: 4戦4勝 (セントレジャーステークス、ドンカスターカップ優勝)
1796年: 6戦5勝1失格 (ドンカスターカップ優勝、1000ギニーのマッチレース優勝、ニューマーケットゴールドカップ優勝)
1797年: 4戦4勝 (ドンカスターステークス優勝)
1799年: 1戦1勝 (3000ギニーのマッチレース優勝)
1800年: 1戦1勝

主な産駒

ハンブルトニアンの産駒も、いくつかのレースで勝利を収めています。

Anticipation（1816,1819年アスコットゴールドカップ優勝）
Camerton（グッドウッドカップ優勝）
Camillus（ドンカスターカップ優勝）
Whitelock（セントサイモンの祖となるなど、重要な役割を果たした）

まとめ

ハンブルトニアンは、その類まれな強さと名門血統で、18世紀末イギリス競馬史に燦然と輝く存在でした。種牡馬としては成功とは言えませんでしたが、その血統は、後の競馬界に大きな影響を与えたことは間違いありません。彼の活躍は、今もなお競馬ファンに語り継がれています。

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