ハーボーン鉄道

ハーボーン鉄道の歴史

ハーボーン鉄道（Harborne Railway）は、イングランドのバーミンガムの中心部と郊外のハーボーンを結ぶ支線として、1874年に開業しました。この鉄道の創設は1866年に承認され、グレート・ウェスタン鉄道のバーミンガム＝ウルヴァーハンプトン線と接続する計画がありましたが、地主たちの反対により実現されることはありませんでした。結局、実際に建設されたのはモニュメント・レーンからハーボーンまでの約4キロメートルの区間だけでした。

建設と運行の開始

鉄道の建設には5年の歳月がかかり、1874年8月10日に旅客営業が開始され、10月1日には貨物の運行が始まりました。この区間には、イックニールド・ポート・ロード駅、ロットン・パーク・ロード駅、ハグリー・ロード駅の3つの途中駅が設けられ、バーミンガム運河本線を越える深い切り通しも含まれていました。今では、その橋脚の一部がかつての鉄道の名残を留めています。

経営と運行体制

ハーボーン鉄道は独立した企業が所有していましたが、運行業務は当初からロンドン・アンド・ノース・ウェスタン鉄道（LNWR）が担い、運賃収入の半分を得ていました。この路線は全面的に単線で、最初は1編成のみの運行である「ワン・エンジン・イン・ストリーム」方式が用いられ、平日には6往復の列車が運行されていましたが、1882年にスタフ閉塞式に変更されました。さらに、1903年にはロットン・パーク・ロード駅に交換線が設けられるなど、運行体制も整備されました。

通勤路線としての成功

ハーボーン鉄道は初期の通勤路線の一例として成功を収めていたが、1880年代に入ると経営に苦しむようになりました。1879年には管財人が指名され、21年間の管理が続きました。最盛期の1914年には、一日に27往復の旅客列車が運行されており、バーミンガム・ニュー・ストリート駅までの所要時間は約16分でした。この時期の列車は、LNWRのフランシス・ウェッブが設計した機関車が使用されていました。

衰退と廃止

1923年になると、ハーボーン鉄道はLNWRと共にロンドン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道（LMS）の一部となり、バスとの競争が激化すると、利用客数は減少していきました。1931年にはイックニールド・ポート・ロード駅が廃止され、以降他の駅も次々と閉鎖されていきました。最終的に、1963年11月4日には貨物運行も廃止され、厳しい競争に敗れたこの路線はその歴史の幕を下ろしました。廃止の数日前には、スチーブンソン蒸気機関車協会による特別運行が行われ、かつての活況を思い起こさせました。

現在の姿

ハーボーン鉄道の跡地には、1981年に開通したハーボーン・ウォークウェイという歩道が設けられ、その一部が公共スペースとして利用されています。残された鉄道橋は1994年に改修され、新しい入口として利用されています。かつての道が地域の記憶として息づいていることは、この鉄道の存在が地域に与えた影響の証と言えるでしょう。

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