ハーミーズ (空母・初代)

ハーミーズ (HMS Hermes, 95)

ハーミーズはイギリス海軍の航空母艦であり、世界初の機械を利用した空母として設計されました。その艦名は、ギリシャ神話の神、ヘルメスを由来としています。建造は1918年に始まり、1924年に正式に竣工。航空母艦の黎明期において、先進的な技術を取り入れていましたが、搭載機数が限られ、性能には一定の制約がありました。

建造の背景

ハーミーズの設計は、当時の航空機技術と海軍の戦術の変化に対応する形で行われました。イギリスは第一世界大戦後、航空機の有効性を真剣に受け止め、艦船への航空機搭載を進めました。特に、空母アーガスやイーグルの運用実績を参考にしながら、ハーミーズは最初から空母として建造された初の艦であることから、他国の模範にもなりました。

艦形と性能

ハーミーズは、アーガスやイーグルのデザインを参考にした小型の艦で、基準排水量は約1万トンでした。飛行甲板は182.3メートルあり、艦首の形状にはエンクローズド・バウが採用されており、効率的な設計がされています。そのため一定の搭載機数を確保し、機体の運用が可能となりましたが、やはり搭載機の数は最大で20機程度に留まっていました。

艦橋は、当初から大型で島型艦橋が設けられており、特徴的な外観を持っています。しかしその大きさからくる不安定さがバランスの悪さを生み出しており、設計課題の一つとされました。主砲には軽巡洋艦に匹敵する14cm速射砲を搭載し、対空火器として高角砲が配置され、防御力も一定の水準を維持していました。

運用と戦歴

ハーミーズは、建造後しばらくの間は海軍休日時代において待機していましたが、1939年に第二次世界大戦が勃発すると、対潜哨戒任務に配属されました。1942年には東洋艦隊に所属し、日本軍の攻撃機動部隊に直面することとなりました。

1942年4月9日、ハーミーズはセイロン沖で日本海軍の空襲を受け、搭載機とともに沈没しました。この戦闘により、艦長および乗員307名が命を落としました。この沈没は、第二次大戦中のイギリス空母として特筆すべき出来事であり、日本軍によって撃沈された唯一のイギリス海軍の空母とされています。

残骸の発見

ハーミーズの残骸は、スリランカの水深60メートルの海底で2002年に発見され、その後ダイビングスポットとして親しまれています。これにより、第二次世界大戦の歴史的な意義が再認識されることとなりました。

ハーミーズの艦歴は、イギリス海軍航空母艦の歴史の中で特に重要であり、航空母艦という特異な存在の発展に大きく寄与した空母の一隻です。また、当艦が果たした役割は、戦争の潮流や海軍戦術にも影響を与えました。

もう一度検索